ÖBB 64.311(DRB Baureihe 64)
ÖBB 64は、DRGでBaureihe 24のボイラーとシリンダーを利用して製作された客車牽引用のタンク式機関車のBaureihe 64である。製造は1928年から1940年までで計520両誕生した。
テンダー式のBaureihe 24(出力677kW)と比べ、テンダーを牽いていない分、出力も大きく(700kW)、全長は12400mmで割と小型であるため、後進の運用も容易でローカル線では重宝された。
全体のフォルムも均整の取れた姿でファッショナブルな女性のヘアーカットの様だとして"Bubikopf"(日本語訳:頑固者・石頭)というニックネームが付けられたといわれている。
ÖBB 64.311は、第2次世界大戦後の1945年にオーストリアで生き残っていた唯一の64であった。この311号機は戦後処理として、そのままオーストリアに残り、たった1両ではあったが、ÖBB Raihe 64として登録された。
1954年に事故で大破したものの、修復され1956年まで活躍したが、1957年には形式抹消され、現存していない。
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モデルは、Fleischmann製で、製品番号は4063A。DBバージョンのオーストリア向け(Sondermodell)製品である。発売時期は未確認であるが、1978年のカタログにはDBバージョンの064として(製品番号は4063)掲載がある。なお、現在は絶版品となっている。
全長は143mm、重量は291gである。
動輪とモーターが組み込まれた足回りはメタル製で、裏側からのブレーキパット(ダミー)部分はプラ製である。また、先従輪の軸受け部分もプラ製。車体(ボイラー、ウオータータンク、キャブ等)はプラ製で、その車体内側の動輪第1軸と第2軸の上側付近にウエイトが付く。
モーターはFleischmannの標準型で、全部スーパーギア(平ギア)にて動輪の第3軸を直接駆動する。第1軸と第2軸へはロッドにて回転を伝える仕組み。なお、トラクションタイヤは装着されていない。
集電は、片側絶縁タイプの動輪3個から採っていて、片側は軸部に直接接触子を使ってフレーム上に流し、絶縁側はフランジの内側を擦るようにして3輪全部から集電している。
この車輌の場合は、動輪の軸受けは固定式で車軸を通してから片側(絶縁側)のタイヤをはめ込む方式を採用している。そのため車軸と軸受けの相性は抜群であるが、上下動は無く、また先従輪からは集電していない関係で無電区間の長いポイントレール(FleischmannのProfiでは問題がないが、Rocoなどでは、ややぎくしゃくする場合がある)
ライトは、電球タイプの球が前後に1個ずつ装着され、前後とも同時に点灯する。なお、当方の通常走行電圧では暗くぼんやりとしか点灯しない。
車重はRocoの同じ形式のものと比べ、この製品の方が100g近く重いが、トラクションタイヤを装備していない(車軸が固定式で、しかも動輪3輪からのみの集電であるためトラクションタイヤを装着できない)ため牽引力は思ったほどない。
当方のテストコース(全長約5.2mのエンドレス。曲線部はR420。直線部に1mの長さで4%の勾配がある線路)では、前進方向では2軸とボギーの混合貨車11両=編成長1.4mに留まった。後進の場合は貨車12両、編成長1.5mであった。
カプラーは、欧州標準型のループカプラーを採用。しかし、通常の差し込むタイプで無く、ロックピンを使うタイプとなっている。ピンタイプであるのでFleischmannのピンタイプであれば、Profiタイプにも交換できる。
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こちらは、Rocoの同じ64.311(製品番号:62202)である。
一見すると、車輪とロッド類の色合いが違うだけで、外観上はそれほど大きく差が無いように見えるが、詳しく見ると、かなりの違いを見いだせる。
車体は、Rocoの方が細密度が高いが、これは Fleischmannの方が 80年代後半に発売された製品で、Rocoのは2006年製という時代差による金型技術の進展が関係していると思う。
電気的な部分は、Fleischmannと大きく異なる。
外側から見るものとして、Rocoのライト類は、LEDの定電圧点灯で、低速度から明るく点灯する。
点灯は進行方向前側のみ。
集電は、Fleischmannのは、動輪からのみ採取しているため、線路状態によってはギクシャクする場合があるのに比べ、Rocoのは、動輪と先輪・従輪からも採取して、しかも先輪・従輪は1軸にも係わらず両側から採取しているため、線路追従が良く非常にスムーズに走行できる。
駆動系は、やや小ぶりの丸管形両軸モーターを使用し、片側にはフライホイル、もう片側には直接ウオームギアが付けられていて、駆動ギア形式が異なるが、3軸目の動輪を直接駆動し、1軸と2軸目にはロッドで回転を伝達させる同じ方式が採用されている。またギア駆動されている3軸目の両タイヤはトラクションタイプにしてあるため、Fleischmannより100g弱軽い200gの重量だが牽引力も十分にある、
なお、中央の2軸目動輪は左右動2.5mm、上下動は0.5mm、1軸目と3軸目は上下動は無く、左右動は0.5mmと僅に動く。
Fleischmannの製品は、当方で入手したいと思った頃には絶版となっていて、通常の店からは入手出来なかったため、ウィーンの所属クラブで捜して貰ったところ、3ヶ月ほどで入手できたという連絡を貰い、2002年5月に納品されたものである。製品はショーウィンドウ展示品であったと聞いている。
Rocoの製品は、2006年の発売カタログでDBバージョンの発売予告があったので、そのうちÖBBバージョンも出るだろうと待機していたところ、2008年に天賞堂本店に入荷したのを見つけて同年3月に入手した。
ÖBB 1012 002-0
1012は、ÖBBでの最初の高速度機関車である。6400kwの出力で最高速度は230km/hの性能を持っていた。
1996年に企画され、DB 120/127 "Siemens-Eurosprinter"やRENFE 252、SBB 460/465と同等の性能を目標とした。PrototypeとしてÖBB 1044.501(170km/h)を選択し、これをベースとし営業運転200km/hを目指して設計された。
割りと平坦な線区である回廊線区間などの高速運転と、Innsbruckより西側の緩いが長い勾配区間、またはBrenner Passのきつい勾配区間での重量高速列車に対応させるというというÖBBの特殊事情に対応させる難しい設計が要求されたという。
実のところ、最初の3台の機関車が製造されている間に、ÖBBのトップマネージメントが変わり、新しい規則ではEU地域での直通運転に重きが向けられ、特殊な機関車としてコストが高い新型機関車は、受け入れにくい状況が出始めていた。しかし結局、合意はされてÖBBに受け入れられることが決まった。
1号機は1997年4月29日に完成し納品され、実線でのテストの結果、当初の性能要求通りの性能を持つことが確認された。さらに、同年12月15日までに2両完成して、1012は計3両となった。しかしコスト高から、その後の増備はされず、結局3両のみの形式となった。
車体長は19300mmで重量は82.6t、正面形状は1993年から製造された1014とほぼ同じで、しかし空力特性を考慮して独特の丸みのある車体が採用された。
塗色も白と赤色のはっきりとした色が選択され、側面では白色のベースに赤色の起伏のあるラインが採用され、そのラインにも丸みが付けられた特徴のある塗り分けが採用された。
配置は最初から2006年まで一度も移動することなくInnsbrukであった。主な運用は、Innsbruk-BrennerseeでのRoLa-train(トレーラー自動車輸送列車)で単機または重連でその任にあたり、他には専用貨物や客車牽引も行っていた。
2005年から2006年にかけて、スエーデンの会社Hector Railによって、テストされ、2007年に3機とも買われ、ÖBBからは撤退してしまった。Hector Railでは141形になり、現在も活躍しているとのこと。
表題の模型車両は Rocoの1014を種車として製造されたSpecial製品
最近では、Schwaigerから製品番号E467としてカタログに載せられているようであるが、最初のロット(製品数は不明)分以外は、受注生産のような形で製作され、一般の模型店にはアナウンスされなかった、と聞いている。
この製品では、Rocoの1014の台車、駆動系、中枠とパンタグラフを流用し、1014の正面の型を原型として特徴のある丸味のある妻面と、車体長を実車での長さ(1014より1800mm長い)の違い分の車体(ベンチレーターを含む)を新製している。
駆動系、走り装置は1014そのものであるが車体長が延びた分、メタル製の中枠も巧みな方法で延長している。そのためモーターの位置が1014よりやや片側(1位側)によった状態となっているが、特に問題となることもなく、1014と同等の走行性能である。
ライトは前進方向に白5灯、後方に赤2灯が点灯するようになっている。ただし、この製品では2位側のライト配線は、オリジナルのままになっていて、車体を延長した事による配線の延長はされていない。従ってこのままでは、2位側は点灯しない。しかし、配線自体は簡単なのでリード線をハンダ付けすれば正常な点灯が可能である。
これは、重連運用の前側の機関車として使用する場合、次位の機関車との間のライトは点灯しない方が実感的なので、そのような使い方を考慮した(当方では、同時に複数の車輌を注文していた)配線状態になっているらしい。
DCC対応、架線集電可。カプラーはカプラーポケットがNEMタイプのため他のものに変更可能である。
収納箱は、Rocoの1014のものを一部改造したものを使用しているが、現在、この形式(1012)そのものはRocoからも、また非常に他品種の製品を送り出しているメルクリンからも発売されていない。
この製品は、いくつかの限定されたクラブを通じて生産予告され、全注文数が予定数に達した時に生産されるという性格の特殊な生産方式で製造されたものである。全生産数は30両(車両番号の1から3までが同時に予告されたがそれらの合計数)と聞いている。価格はこの当時の為替レートで75,000円を越えた。
当社では、注文は 2002年3月で、入線は 2003年1月であった。
なお、2007年秋になってTRIXから、最初に1012 002-0の発売が予告された。(ということは、メルクリンからも発売予定が有ったのだと思うがACの方のチェックはしていないので推測)
TRIXの1012は、1014からの改造というものではなく、正式な1012ということで、当方も予約を入れ、2008年2月末に納品された。
SBB Ae 4/6 10812
Ae 4/6 は、SBBのGotthardbahn用に設計製作された 電気機関車である。
1930年代にGotthardの輸送量が増加し、それまでの主力機であるAe 4/7より、強力で速度の速い機関車が要求されてきた。そこで1939年にBLSのBe 6/8やAe 6/8を借り試験走行を行った。また1935年に誕生したE 18(DB = 3040kw、117km/h)や、1940年製のオーストリアへ移籍したE 18.2( 3340kw、97km/h)を参考として企画された。
結局、SBBのAe 8/14 11852の連接機関車のほぼ半分の、新しい機関車が製造されることになった。
車輪配置は1'Do1'となり、全長17260mm、動輪径1350mm、先輪径950mm、モーター数は8個で出力4200kw、重量は105t、最高速度は110km/hであった。電気ブレーキは回生タイプ(Nutzstrom)を装備していた。また、重連総括制御装置を装備していた。
機械部分はSLMが担当し、電気部分は、BBC、MFO、SAASが担当した。
10801-06は、1941/42年に誕生した。折しも戦争によって材料の供給が不足して納品が遅れ、10807-08が1944年に、10809-12は1945年に納品された。
1958年にはさらに高性能が要求されはじめ、最初に10812を作り直すことになり、その年の12月には作業を開始した。1959年には10807-10811も作り直すことが決定した。1960年5月には10812の試運転を開始し、続いて1961-66年にかけて10807-10811も改造された。これにより最高速度は125km/hにアップした(ただし重量は111tになった)
未改造だった初号機の10801は、Ae 4/6 では一番早く1965年7月に用途廃止となった。
10802と10807は1977年2月まで、10808と10809は1981年3月、10803と10804は1981年10月、10806が1982年10月、10812が同年12月、そして最後まで残った10805と10811が1983年5月に廃止となって終焉となった。
このAe 4/6は、SBBの高速機関車の中では一番早く用途廃止となった機関車で、その意味で人気が無く、全機解体され現在では残っていない。
モデルはRoco製、製品番号は63530。
1998年に初めて製品化された。また2003年のカタログからは消滅していて現在は絶版となっている。
全長は199mm、重量は411g。架線集電可能。DCC対応。カプラーはカプラーポケットがNEM362のため各種の形式のものに交換可能。ライトは前方向が白3灯、後方が白1灯点灯する。購入後テスト走行したのみで手すり等のパーツは取り付けていない。
車体はプラスチック製、下回りとフレームはメタル製。
駆動系はRocoの標準的なもので、車体中央に両軸モーターを置きウォーム1段と平ギアの組み合わせで、両台車の動輪4軸を回転させる方式。トラクションタイヤは2位側の後ろ(外側)の2タイヤとしている。
集電は、動輪の8タイヤ全てより取っている。先輪は、重量による下方(線路)への押しつけのみで、復元スプリングは無い。
当社では2003年2月に新品、同年8月には新品同様の製品との2両が在籍したが、同年9月に1両は他社へ譲渡したので現在は1両のみとなっている。共にWienのクラブより購入した。
SBB Be 6/8 14253
スイスの機関車というと最初に思い浮かぶのが“Krokodile”と呼ばれる、この旧式の連接車体をもつ電気機関車である。
この機関車は、Be 6/8 または Ce 6/8という形式番号をもち、サブ番として-Ⅰ形と-Ⅱ形と-Ⅲ形がある。
スイスとイタリアを結ぶ重要幹線に立ちはだかるGotthard passを通す貨物列車をなるべく高速で多くの貨物を輸送するために計画し製造された電気機関車である。
最初の機関車は1918年5月にMFOに発注され、そのうち4台は1919-1920年に誕生し、12251-12254という車番が付けられ、実際のテスト走行が行われた。1920年には車番が14251-14254に変更された。1920年末までに残りの6両が完成し14255-14260の車番が与えられた。
続いて1919年には更に10両の発注がされ14261-14270となり、さらに3両の発注がされ、1920年には、またさらに10両の追加発注がされて14271-14283となった。
全長は19460mm、1350mmの動輪を6個と950mmの先輪1軸 x2で配置は1C'C'1。モーターは4個でクロスクラッチのところに2個ずつ配置されていた。出力は当初1650kw、最高速度は65km/hで、この時の形式はCe 6/8-Ⅱであった。牽引力は、26‰では450t牽引し30km/hで、10‰では1200tを牽引し40km/hで走行できた。
1941-1947年にMFOの提案により14251-14265の出力を2700kwに増補し、形式がBe 6/8-Ⅱ 13251-13265に変った。これにより26‰では520tを牽引し40km/hで、また10‰では1350tを牽引し40km/hで走行できるようになった。
1965年から1967年にかけて、Ce 6/8-Ⅱ 14274-14283 をRangierlokomotiven(入換機)に変更することになった。また1969年には14269が、1971年には14267が追加変更された。
また使われなくなった14260と14262を元車として、14260は1949年に14284に、14262は、1948年に14285に作り直された。(機械部分は基本的に以前のものを再利用した)
Be 6/8-Ⅱは1965年から1978年までに用途廃止となったが、13253がHistrische Lokomotiveに指定され、同時にCe 6/8-Ⅱ 14253に戻され、動態保存機として現在も活躍中である。13254は、1982年にVHS Luzern(鉄道博物館)に保存され、13257は、1978年にÖBB 1089.06に機械装置を譲渡した。また1973年以降現役だった車両は全て最高速度を65km/hに下げている。
Ce 6/8-Ⅱは、1965年から1986年まで活躍したが、そのうち14267(1983年12月)と14282(1982年11月)は、Historische Eisenbahn Frankfurt(ドイツ)に保存され、のち1991年に、14267はTechnik Museum Speyerに、14282はmuseum Sinsheimに移籍し保存されている。なお、14270は、1982年にErstfeldに置かれ、現在も動態保存されている。14276は1986年3月に、Club San Gottardo Mendrisioが所有した。
表題の模型車両は、Roco製の製品番号43539である。ただし、この機関車はRocoが、1997年の、【スイス鉄道誕生150周年】を記念して発売したHistrische Zug set(製品番号43023)に含まれていたものである。機関車の単体は1986年に発売されていた(製品番号43539)。
車両長は224mm、実車と同様に3連接車体で、曲線に沿って車体が折れ曲がるので急曲線も問題なく走ることが出来る。運転室のある車体部分はプラスチック製でその他の部分はメタル製である。重量は495g。
駆動系は両軸モーターを運転室に置き、両軸に大きなフライホイルを装着し、ウォーム1段と平ギアの組み合わせで実車同様にクロスクラッチの軸を駆動して、動輪へはロッドで回す方式。トラクションタイヤは2軸目の片側を互いに斜め方向となる位置に計2個ある。
カプラーポケットはNEM652タイプなので他のものに交換可能。またカプラーポケットと先輪は別々に動く(連動していない)。ライトは前進方向に白3灯、後方は点灯しない。架線集電可能。DCCには非対応。
この製品ではHistrische Lokomotiveとしての形態、茶色塗色、トップの棒形の手すりなどとしているが、車体に書かれた文字はBe 6/8-Ⅱとしていて、やや、ちぐはぐさを感じる部分もある。
なおこの機関車は、当方の欧州型のスタートの時に購入した機関車の1号機である。
1997年スイス鉄道150周年にたまたまスイス旅行をしていて感化され、欧州形を始めようと思い立った1997年12月30日に銀座天賞堂にて入手した記念すべき車両。ただし、相当量走らせたので最近は、保存機となっている。
SBB Fe 4/4 18518
Fe 4/4は、1927-1928年に製造されたGepäcktriebwagen( 電動荷物車 )で、18501-18524と18561の計25両が作られた。
機械部分は、18501-09と18517-24までがSWS、18510-16と18561をSIGが担当した。電気部分は18501-24をSAASが、18561をMFOが担当した。
車輪配置はBo'Bo'のD型で、動輪径は1040mmで出力は1100 PS、全長は15200mmで、18501-11までは重量が67.2t、最高速度は75km/hであった。18512-24は、重量が63.6tで最高速度は85km/hであり、ラストナンバーの18561は、重量が69.8tと重かった。
この車両には7.5㎡の郵便室と13.5㎡の荷物室があった。2軸または3軸の客車では7両ほどを、またボギー客車では3両程度の牽引が可能で、単機( または重連 )で客貨物両用の運用が行われていた。
1947/48年に車番が変更されFe 4/4 801-824と831に変更された。また1959/61年には再度車番の変更が行われ、Fe 4/4 1661-1685になった。さらに1963年に形式番号が変更され、De 4/4 1661-1685になった。
1930年頃には、Zürich近郊では荷物より人を運ぶ需要が増加し、Fe 4/4は東スイス地方へ追いやられることになった。都市近郊の平坦部と比べて山-谷の上り下りが増えたため、1931年に18501-08に、また1938/39年には西スイス地方へ移動した18509-11に電気ブレーキを装着する改造が行われた。
1960年代になった頃でも、これらの車両の需要が減らなかったので1661-1671( 元18501-11 )の車体更新( 妻面に丸味のある新しい鋼製車体 )が行われた。この更新により郵便室は無くなり、18.5㎡の容量と4tまでの貨物の搭載が出来るようになった。車体重量は57t( max 61t )と大幅に軽量化された。
ラストナンバーの1685は、BBCの非同期モーターの試験用に1972年にBe 4/4 12001に改造された。1981年12月には用途廃止となった。
De 4/4となって活躍した車両も1966年から少しずつ廃止となり、1988年中に9両がまとめて廃止され、1989年3月に最後まで残っていた1671が用途廃止となり終焉を迎えた。
その前の1982年5月には1678が用途廃止となったが、VHS Luzern( ルツェルン鉄道博物館 )に保存されることが決まり、屋根は"Arbelter-Pullman"に、塗色はチューリッヒ・カラーと呼ばれる鮮やかなブルーと白色にし、形式名と車番も元に戻した姿になった。( 静態保存 )
また1679は、1983年5月にHistorische Lokomotiveに指定され、現在も動態保存機として活躍中である。
模型車両は、Roco製で製品番号は43631である。動態保存機の1679( 製品番号43630 )のバリエーションとして1988年に同時に発売されたものである。
全長は175mm、駆動系はRocoの標準のモーターを車体中央に1個置きフライホイル付きの両軸にウォーム1段と平ギアの組み合わせで全4軸を回転させる方式。集電は片側4個あるタイヤ全てから集電し、トラクションタイヤは中央寄りの2軸の片側をそれぞれ斜め方向になるように組み合わせて、計2個としている。
トラクションタイヤが付いているが、車輪( 動輪 )の径が小さいため、あまり力は強くなく、軽量客車3両程度の牽引が手一杯で、それ以上の負荷を掛けるとトラクションラバーが外れたり、切れたりすることがある。
ライトは定電圧タイプではないが前進方向に白3灯、後方に赤1灯が点灯する。カプラーは、NEMショートタイプカプラーポケットが付属しているので他のものに交換可能。この写真の車両では片側( 1位側 )はダミーとしているがカプラーポケットのアダプターは予備が付属している。架線集電可能、DCCには非対応。
当社では、都合計3両入線した。( 全く同じもの )
最初のは、2001年9月にスイスの友人に譲って貰ったもの。2両目は南ドイツの友人に譲って貰ったもので2005年8月に入線。ただしこれは後日他社に譲渡してしまった。3両目は今年6月にバックアップ用としてクラブから購入したもの。したがって、現在2両在籍中。
なおこの製品は、1988年に限定品として販売され、以降はカタログには1度も掲載されていない。また、動態保存機の1679も1997年のカタログまでは載っていたが、最近では見ていないので絶版と思われる。
BLS Ae 6/8 205
Ae 6/8は、Bern-Lötschberg-Simplon-Bahn(BLS)のSimplon Passの27‰勾配に対し、500-600tを牽引して、それまでの最高速度50km/hを向上させる目的として製造された電気機関車である。
最初に製造されたのはBe 6/8で、1926年に201と202の2両、続いて1931年に203と204の計4両が誕生した。
これらは(1'Co)(1'Co)の配置で、当時のヨーロッパでは最強の3300kwの出力を持ち、その最高速度は75km/hに達した。これらの機械部分はイタリアのBredaが製造し、電気部分はSAASが担当したので "Breda-Loks" と呼ばれていた。
次に1939-43年には、205から208が製造されたが、第二次世界大戦との関係で機械部分の一部はSLMが担当した。なお、205の車体側面にはBern-Lötschberg-Simplonのレタリングがされていた。他の車両はクロムでBLSの浮き文字のみのシンプルなものであった。
この4両の機関車は、最初の4両の機関車( 201-204 )とは違って広々とした丸い運転席( 現在のヨーロッパの標準である座位の運転席 )を設けて、最初から最高速度は100km/hに設計された。そのため形式は初期のBe 6/8からAe 6/8となった。(出力は4415kw)
また、1939年にはBe 6/8の201-204の出力が、トランスの変更により3880kwに増強され、最高速度は90km/hになり、形式がAe 6/8に変更された。
これらの機関車の動輪径は1360mmで、先輪は970mmあり、全長は20260mm( 201-204は車体更新後 )と大きく、重量は140tもあった。従って軸重も20tとヘビー級であった。
1940年代前半には205のレタリングは消され、他の車両と同じBLSの浮き文字に取り替えられてしまった。
1955年には201-204の狭い運転席を、205以降のように座って運転が出来るように車体更新が行われた。
1939年にZürichで行われたスイスのカントリーフェアには、SBBのAe 8/14 "Landi Lok"と同列でAe 6/8 205が展示紹介されるという名誉な出来事もあった。
BLSでは、この1939年製の205をMuseumslokとして動態保存することを決定し、現在も原型( ロゴも最初の書き文字に戻された )を保ちながら活躍中である。
模型車両は、Roco製の製品番号43711である。1997年に限定製品として発売された。現在は絶版。
この製品は、Rocoが1990年以降に制定したMuseum Editionsと称されるシリーズのもので、正確な1:87スケールの製品と展示用のレール1本および解説本( ドイツ語 )付きをしっかりした木箱に収納したセット品となっている。
機関車の全長は233mm、DCC対応、架線集電可能、ライトは前進方向に白3灯、後方に白1灯が点灯し、カプラーはNEM362タイプで交換可能。また、片側をダミーとするか、展示用にカプラーを取り付けない場合は、カプラーポケットを取り外して、交換できる欠とりのない( 本来の姿の )スノープラウが付属している。
駆動系はRocoの標準的なものでモーターは中央に1個、フライホイルが両軸に付き、ウォーム1段と平ギアの組み合わせで全6軸を回転させる方式。トラクションタイヤは両先輪の側の2軸計4個。重量は553gと重い。
集電は動輪6軸のそれぞれのタイヤから取り、先輪からは集電していない。先輪には弱い上下方向の復元スプリングが入っている。なお、先輪とカプラーポケットは別々に動くようになっている。
当社への入線は、1999年2月に銀座天賞堂本店からの購入による。
SBB Re 460 084-7 Jubiläumslok
1997年5月5日、スイスの鉄道150周年の記念行事が幕を開けた。
この記念行事のために設えられたのが別称「ミラー」と呼ばれたこのRe 460である。実際にBernでのレセプションでお披露目され、世界中の注目を集めたことで有名である。
このピカピカの車両には3つのバージョンがあって、最初のバージョンでは車体側面の斜めに通る帯の部分に赤地に線路を示す2本の白線のシンボルマークと黒地に「DIE BAHN BEWEGT SEIT 1847」という白文字がドイツ語と仏語とイタリア語で書かれていた。また正面の運転席のところにもシンボルマークと側面の文字と同じものが白地に黒文字で書かれていた。
2つめのバージョンでは、側面の文字がスイスの各州の州旗に代わった。
3つの最後のバージョンでは、州旗は同じで、運転席の側面窓の下に黒文字で"Helvetia"のロゴが書かれた。
この模型車両は、その3つ目のバージョンのものである。
メーカーは、HAGで製品番号は075である。もちろん限定品で現在は絶版となっている。
ちなみに最初のバージョンの製品番号は071、2番目のバージョンのものは073(ともにDCバージョンの場合)であった。
車体は通常のHAG製品と同様、オールメタル製で重量は525g。架線集電は可能であるが、DCCには非対応。
駆動系は、これも通常のHAG製品と同様で、強力な横置きモーターを2位側の台車に換装し、メタル製のスーパーギアにて2軸を回転させ、また2軸計4個がトラクションタイヤとなっている。1位側の台車は集電のみで駆動はなし。
集電は両台車とも片絶縁車輪を使用し、リード線で結ばれているのは両台車とも同じ側の極となっている。なお、駆動している台車では、車輪のセンター復元を兼ねて、両側のタイヤの内側に接触子が装着されている。
ライトは前進方向に白3灯、後方に白1灯が点灯する。カプラはHAG標準の引っかけ式のものが装着されているが、カプラーポケットがNEM362タイプのため他の形式のものに交換可能。なお当方では、急曲線に対応させるため、2位側はカプラーポケットの長さの長いオプションパーツおよび1位側は引っかけ式のカプラーも繰り出し量が大きい(長い)オプションパーツを使用している。
また、この製品の箱は、機関車に合わせたミラー状の箱を使っている。
実機は、2年ほどでオリジナルの赤色に戻っているが、クラブの公開運転会などでは、ECの客車を牽いて走らせても全く違和感がない。
当社では1998年7月に、銀座天賞堂本店にて購入した。