欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

kkStB 429.913

429は、kkStBで企画製造された客貨車両用の蒸気機関車である。全長16873mm、動輪径1614mm、先従輪径870mmで最高速度は80km/hであった。

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429


最初のシリーズの 429.01-57は、1909/10年に製造された。1C1-h2vの車輪配置で、高圧(475mm)と低圧(690mm)の径の違うシリンダーを持っていた。(以下Verbundloks)f:id:eumodel:20190504112935j:plain


次の429.100-225は、1911-1916年に製造され1C1-h2vの車輪配置を持ち、2つのシリンダーをコネクトするロッドを持っていた。


最後のシリーズの429.900-999と429.1900-1996は、1911-1917年に製造され、1C1-h2の車輪配置で、2つのシリンダー(475mm x2)をコネクトするロッドを持っていた。(以下Zwillingsloks)


また、kkStBが国有化されたのちの1912年には、MAVに323.9として6両登録されている。


1925-1927年には、イタリア国鉄に22両、ポーランドに3両、ルーマニアに2両譲り渡された。


BBÖ(1923年)には87両が移籍し、BBÖ最後の1937年12月31日まで全機健在であった。f:id:eumodel:20190504113023j:plain


DRB(1938年)では、Zwillingsloksは35.201-241に、Verbundloksは35.301-346と改称された。


ÖBBでは、総数85両が登録されたが、Zwillingsloksは、ÖBB Reihe 35(46両)と、Verbundloksは、ÖBB Reihe 135(39両)となった。


ÖBB Reihe 135は、1951年末では39両、1952年末37両、1954年末35両、1955年末34両、1956年末31両、1957年末22両、1959年末12両、1960年末8両、1961年末には5両となり、1962年に終焉となる。


ÖBB Reihe 35は、1951年末では46両、1952年末45両、1953年末37両、1955年末36両、1958年末31両、1959年末28両、1960年末26両、1961年末25両、1962年末19両、1963年末17両、1964年末15両、1965年末9両、1966年末には1両となり、1968年に終焉となった。


ÖBB 35.233(kkStB 429.1971)は、Strasshofの博物館に保管されている。また、kkStB 429.195(PKP OI12-7)は、Sucha Beskで動態保存されている。


モデルのkkStB 429.913は、Klein Modellbahn製(以下Klein)の製品番号0173。2006年9月に発売された新作で、ÖBB 35形式シリーズの製品である。

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429.913


この製品では、先に発売されていたKlein ÖBB 56形式シリーズで発生していた不具合(問題点)を解決したような良い状態で世に出てきた製品で、走行、集電、牽引力とも申し分のない仕上がりとなっている。f:id:eumodel:20190504113646j:plain


モーターはテンダーに搭載され、テンダーの3軸全てを駆動し、1軸目と3軸目の4タイヤがトラクションタイプとなっている。またカルダンジョイントにて機関車本体にも回転を伝え、動輪の3軸目をウォーム1段で駆動し、他の動輪にはロッドにて伝達する方式を採用している。f:id:eumodel:20190504113446j:plain


集電は駆動する全てのタイヤから取っていて、テンダー単体でも走行できる。機関車とテンダーはドローバーを兼ねた5pinのコネクターにより連結されていて、ライトの配線も確実である。f:id:eumodel:20190504113315j:plain


ライトは定電圧点灯方式で進行方向に2灯点灯する。DCC対応。


カプラーは、カプラーポケットがNEM362のため他の形式のモノに変更可能である。f:id:eumodel:20190504113413j:plain


動輪の回転はテンダーの速度よりもわずかに早く回るようになっているらしく、そのため急曲線でも走行がスムーズである。もちろん動輪にはトラクションタイヤは装着されていない。


安定した牽引力を持ち、2%程度の勾配では25両程度の貨車を軽々と引くことが出来る。


2006年4月発注、10月到着。


参考:
Klein Modellbahn は、1984年にオーストリア・ウィーンにて創業。製品は、第一次世界大戦前のSüdbahnと戦後のÖBBの両方をカバーする、主にオーストリアの車両とH0スケールの機関車で構成され、メジャーなメーカーが発売しないマイナーな型式の車両を販売する貴重なメーカーでした。1990年代に一旦資金繰りが悪化して生産を中止(この頃の製品に金属台枠が崩れるなど粗悪製品が出た)、その後復活して2000年代に入ってから非常に安定した走行性能の良い製品を送り出した。しかし、再度資金繰りが悪化して2008年に生産を終了、2010年には販売も終了し2011年には廃業してしまった。