欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

SBB Fe 4/4 18518

Fe 4/4は、1927-1928年に製造されたGepäcktriebwagen( 電動荷物車 )で、18501-18524と18561の計25両が作られた。f:id:eumodel:20190922214512j:plain

機械部分は、18501-09と18517-24までがSWS、18510-16と18561をSIGが担当した。電気部分は18501-24をSAASが、18561をMFOが担当した。

車輪配置はBo'Bo'のD型で、動輪径は1040mmで出力は1100 PS、全長は15200mmで、18501-11までは重量が67.2t、最高速度は75km/hであった。18512-24は、重量が63.6tで最高速度は85km/hであり、ラストナンバーの18561は、重量が69.8tと重かった。

この車両には7.5㎡の郵便室と13.5㎡の荷物室があった。2軸または3軸の客車では7両ほどを、またボギー客車では3両程度の牽引が可能で、単機( または重連 )で客貨物両用の運用が行われていた。

1947/48年に車番が変更されFe 4/4 801-824と831に変更された。また1959/61年には再度車番の変更が行われ、Fe 4/4 1661-1685になった。さらに1963年に形式番号が変更され、De 4/4 1661-1685になった。

1930年頃には、Zürich近郊では荷物より人を運ぶ需要が増加し、Fe 4/4は東スイス地方へ追いやられることになった。都市近郊の平坦部と比べて山-谷の上り下りが増えたため、1931年に18501-08に、また1938/39年には西スイス地方へ移動した18509-11に電気ブレーキを装着する改造が行われた。

1960年代になった頃でも、これらの車両の需要が減らなかったので1661-1671( 元18501-11 )の車体更新( 妻面に丸味のある新しい鋼製車体 )が行われた。この更新により郵便室は無くなり、18.5㎡の容量と4tまでの貨物の搭載が出来るようになった。車体重量は57t( max 61t )と大幅に軽量化された。

ラストナンバーの1685は、BBCの非同期モーターの試験用に1972年にBe 4/4 12001に改造された。1981年12月には用途廃止となった。

De 4/4となって活躍した車両も1966年から少しずつ廃止となり、1988年中に9両がまとめて廃止され、1989年3月に最後まで残っていた1671が用途廃止となり終焉を迎えた。

その前の1982年5月には1678が用途廃止となったが、VHS Luzern( ルツェルン鉄道博物館 )に保存されることが決まり、屋根は"Arbelter-Pullman"に、塗色はチューリッヒ・カラーと呼ばれる鮮やかなブルーと白色にし、形式名と車番も元に戻した姿になった。( 静態保存 )

また1679は、1983年5月にHistorische Lokomotiveに指定され、現在も動態保存機として活躍中である。


模型車両は、Roco製で製品番号は43631である。動態保存機の1679( 製品番号43630 )のバリエーションとして1988年に同時に発売されたものである。

全長は175mm、駆動系はRocoの標準のモーターを車体中央に1個置きフライホイル付きの両軸にウォーム1段と平ギアの組み合わせで全4軸を回転させる方式。集電は片側4個あるタイヤ全てから集電し、トラクションタイヤは中央寄りの2軸の片側をそれぞれ斜め方向になるように組み合わせて、計2個としている。

ラクションタイヤが付いているが、車輪( 動輪 )の径が小さいため、あまり力は強くなく、軽量客車3両程度の牽引が手一杯で、それ以上の負荷を掛けるとトラクションラバーが外れたり、切れたりすることがある。

ライトは定電圧タイプではないが前進方向に白3灯、後方に赤1灯が点灯する。カプラーは、NEMショートタイプカプラーポケットが付属しているので他のものに交換可能。この写真の車両では片側( 1位側 )はダミーとしているがカプラーポケットのアダプターは予備が付属している。架線集電可能、DCCには非対応。

当社では、都合計3両入線した。( 全く同じもの )
最初のは、2001年9月にスイスの友人に譲って貰ったもの。2両目は南ドイツの友人に譲って貰ったもので2005年8月に入線。ただしこれは後日他社に譲渡してしまった。3両目は今年6月にバックアップ用としてクラブから購入したもの。したがって、現在2両在籍中。

なおこの製品は、1988年に限定品として販売され、以降はカタログには1度も掲載されていない。また、動態保存機の1679も1997年のカタログまでは載っていたが、最近では見ていないので絶版と思われる。