欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

ÖBB 1012 002-0

1012は、ÖBBでの最初の高速度機関車である。6400kwの出力で最高速度は230km/hの性能を持っていた。

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1012 002-0

1996年に企画され、DB 120/127 "Siemens-Eurosprinter"やRENFE 252、SBB 460/465と同等の性能を目標とした。PrototypeとしてÖBB 1044.501(170km/h)を選択し、これをベースとし営業運転200km/hを目指して設計された。

割りと平坦な線区である回廊線区間などの高速運転と、Innsbruckより西側の緩いが長い勾配区間、またはBrenner Passのきつい勾配区間での重量高速列車に対応させるというというÖBBの特殊事情に対応させる難しい設計が要求されたという。

実のところ、最初の3台の機関車が製造されている間に、ÖBBのトップマネージメントが変わり、新しい規則ではEU地域での直通運転に重きが向けられ、特殊な機関車としてコストが高い新型機関車は、受け入れにくい状況が出始めていた。しかし結局、合意はされてÖBBに受け入れられることが決まった。

1号機は1997年4月29日に完成し納品され、実線でのテストの結果、当初の性能要求通りの性能を持つことが確認された。さらに、同年12月15日までに2両完成して、1012は計3両となった。しかしコスト高から、その後の増備はされず、結局3両のみの形式となった。

車体長は19300mmで重量は82.6t、正面形状は1993年から製造された1014とほぼ同じで、しかし空力特性を考慮して独特の丸みのある車体が採用された。

塗色も白と赤色のはっきりとした色が選択され、側面では白色のベースに赤色の起伏のあるラインが採用され、そのラインにも丸みが付けられた特徴のある塗り分けが採用された。

配置は最初から2006年まで一度も移動することなくInnsbrukであった。主な運用は、Innsbruk-BrennerseeでのRoLa-train(トレーラー自動車輸送列車)で単機または重連でその任にあたり、他には専用貨物や客車牽引も行っていた。

2005年から2006年にかけて、スエーデンの会社Hector Railによって、テストされ、2007年に3機とも買われ、ÖBBからは撤退してしまった。Hector Railでは141形になり、現在も活躍しているとのこと。

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HectRail 141.003-4


表題の模型車両は Rocoの1014を種車として製造されたSpecial製品

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1012 002-0

最近では、Schwaigerから製品番号E467としてカタログに載せられているようであるが、最初のロット(製品数は不明)分以外は、受注生産のような形で製作され、一般の模型店にはアナウンスされなかった、と聞いている。f:id:eumodel:20200711130630j:plain

この製品では、Rocoの1014の台車、駆動系、中枠とパンタグラフを流用し、1014の正面の型を原型として特徴のある丸味のある妻面と、車体長を実車での長さ(1014より1800mm長い)の違い分の車体(ベンチレーターを含む)を新製している。

駆動系、走り装置は1014そのものであるが車体長が延びた分、メタル製の中枠も巧みな方法で延長している。そのためモーターの位置が1014よりやや片側(1位側)によった状態となっているが、特に問題となることもなく、1014と同等の走行性能である。

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新製された車体と金属製の中枠を延長した部分

ライトは前進方向に白5灯、後方に赤2灯が点灯するようになっている。ただし、この製品では2位側のライト配線は、オリジナルのままになっていて、車体を延長した事による配線の延長はされていない。従ってこのままでは、2位側は点灯しない。しかし、配線自体は簡単なのでリード線をハンダ付けすれば正常な点灯が可能である。

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下側から見た延長部分

これは、重連運用の前側の機関車として使用する場合、次位の機関車との間のライトは点灯しない方が実感的なので、そのような使い方を考慮した(当方では、同時に複数の車輌を注文していた)配線状態になっているらしい。

DCC対応、架線集電可。カプラーはカプラーポケットがNEMタイプのため他のものに変更可能である。

収納箱は、Rocoの1014のものを一部改造したものを使用しているが、現在、この形式(1012)そのものはRocoからも、また非常に他品種の製品を送り出しているメルクリンからも発売されていない。

この製品は、いくつかの限定されたクラブを通じて生産予告され、全注文数が予定数に達した時に生産されるという性格の特殊な生産方式で製造されたものである。全生産数は30両(車両番号の1から3までが同時に予告されたがそれらの合計数)と聞いている。価格はこの当時の為替レートで75,000円を越えた。

当社では、注文は 2002年3月で、入線は 2003年1月であった。

なお、2007年秋になってTRIXから、最初に1012 002-0の発売が予告された。(ということは、メルクリンからも発売予定が有ったのだと思うがACの方のチェックはしていないので推測)

TRIXの1012は、1014からの改造というものではなく、正式な1012ということで、当方も予約を入れ、2008年2月末に納品された。