欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

BLS Ae 6/8 205

Ae 6/8は、Bern-Lötschberg-Simplon-Bahn(BLS)のSimplon Passの27‰勾配に対し、500-600tを牽引して、それまでの最高速度50km/hを向上させる目的として製造された電気機関車である。

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BLS Ae 6/8 205

最初に製造されたのはBe 6/8で、1926年に201と202の2両、続いて1931年に203と204の計4両が誕生した。

これらは(1'Co)(1'Co)の配置で、当時のヨーロッパでは最強の3300kwの出力を持ち、その最高速度は75km/hに達した。これらの機械部分はイタリアのBredaが製造し、電気部分はSAASが担当したので "Breda-Loks" と呼ばれていた。

次に1939-43年には、205から208が製造されたが、第二次世界大戦との関係で機械部分の一部はSLMが担当した。なお、205の車体側面にはBern-Lötschberg-Simplonのレタリングがされていた。他の車両はクロムでBLSの浮き文字のみのシンプルなものであった。

この4両の機関車は、最初の4両の機関車( 201-204 )とは違って広々とした丸い運転席( 現在のヨーロッパの標準である座位の運転席 )を設けて、最初から最高速度は100km/hに設計された。そのため形式は初期のBe 6/8からAe 6/8となった。(出力は4415kw)

また、1939年にはBe 6/8の201-204の出力が、トランスの変更により3880kwに増強され、最高速度は90km/hになり、形式がAe 6/8に変更された。

これらの機関車の動輪径は1360mmで、先輪は970mmあり、全長は20260mm( 201-204は車体更新後 )と大きく、重量は140tもあった。従って軸重も20tとヘビー級であった。

1940年代前半には205のレタリングは消され、他の車両と同じBLSの浮き文字に取り替えられてしまった。

1955年には201-204の狭い運転席を、205以降のように座って運転が出来るように車体更新が行われた。

1939年にZürichで行われたスイスのカントリーフェアには、SBBのAe 8/14 "Landi Lok"と同列でAe 6/8 205が展示紹介されるという名誉な出来事もあった。

BLSでは、この1939年製の205をMuseumslokとして動態保存することを決定し、現在も原型( ロゴも最初の書き文字に戻された )を保ちながら活躍中である。


模型車両は、Roco製の製品番号43711である。1997年に限定製品として発売された。現在は絶版。

この製品は、Rocoが1990年以降に制定したMuseum Editionsと称されるシリーズのもので、正確な1:87スケールの製品と展示用のレール1本および解説本( ドイツ語 )付きをしっかりした木箱に収納したセット品となっている。

機関車の全長は233mm、DCC対応、架線集電可能、ライトは前進方向に白3灯、後方に白1灯が点灯し、カプラーはNEM362タイプで交換可能。また、片側をダミーとするか、展示用にカプラーを取り付けない場合は、カプラーポケットを取り外して、交換できる欠とりのない( 本来の姿の )スノープラウが付属している。

駆動系はRocoの標準的なものでモーターは中央に1個、フライホイルが両軸に付き、ウォーム1段と平ギアの組み合わせで全6軸を回転させる方式。トラクションタイヤは両先輪の側の2軸計4個。重量は553gと重い。

集電は動輪6軸のそれぞれのタイヤから取り、先輪からは集電していない。先輪には弱い上下方向の復元スプリングが入っている。なお、先輪とカプラーポケットは別々に動くようになっている。

当社への入線は、1999年2月に銀座天賞堂本店からの購入による。