欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

SBB Be 6/8 14253

スイスの機関車というと最初に思い浮かぶのが“Krokodile”と呼ばれる、この旧式の連接車体をもつ電気機関車である。

この機関車は、Be 6/8 または Ce 6/8という形式番号をもち、サブ番として-Ⅰ形と-Ⅱ形と-Ⅲ形がある。

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SBB Ce 6/8 II 14253 Photo: Ulf Fischer

スイスとイタリアを結ぶ重要幹線に立ちはだかるGotthard passを通す貨物列車をなるべく高速で多くの貨物を輸送するために計画し製造された電気機関車である。

最初の機関車は1918年5月にMFOに発注され、そのうち4台は1919-1920年に誕生し、12251-12254という車番が付けられ、実際のテスト走行が行われた。1920年には車番が14251-14254に変更された。1920年末までに残りの6両が完成し14255-14260の車番が与えられた。

続いて1919年には更に10両の発注がされ14261-14270となり、さらに3両の発注がされ、1920年には、またさらに10両の追加発注がされて14271-14283となった。

全長は19460mm、1350mmの動輪を6個と950mmの先輪1軸 x2で配置は1C'C'1。モーターは4個でクロスクラッチのところに2個ずつ配置されていた。出力は当初1650kw、最高速度は65km/hで、この時の形式はCe 6/8-Ⅱであった。牽引力は、26‰では450t牽引し30km/hで、10‰では1200tを牽引し40km/hで走行できた。

1941-1947年にMFOの提案により14251-14265の出力を2700kwに増補し、形式がBe 6/8-Ⅱ 13251-13265に変った。これにより26‰では520tを牽引し40km/hで、また10‰では1350tを牽引し40km/hで走行できるようになった。

1965年から1967年にかけて、Ce 6/8-Ⅱ 14274-14283 をRangierlokomotiven(入換機)に変更することになった。また1969年には14269が、1971年には14267が追加変更された。

また使われなくなった14260と14262を元車として、14260は1949年に14284に、14262は、1948年に14285に作り直された。(機械部分は基本的に以前のものを再利用した)

Be 6/8-Ⅱは1965年から1978年までに用途廃止となったが、13253がHistrische Lokomotiveに指定され、同時にCe 6/8-Ⅱ 14253に戻され、動態保存機として現在も活躍中である。13254は、1982年にVHS Luzern(鉄道博物館)に保存され、13257は、1978年にÖBB 1089.06に機械装置を譲渡した。また1973年以降現役だった車両は全て最高速度を65km/hに下げている。

Ce 6/8-Ⅱは、1965年から1986年まで活躍したが、そのうち14267(1983年12月)と14282(1982年11月)は、Historische Eisenbahn Frankfurt(ドイツ)に保存され、のち1991年に、14267はTechnik Museum Speyerに、14282はmuseum Sinsheimに移籍し保存されている。なお、14270は、1982年にErstfeldに置かれ、現在も動態保存されている。14276は1986年3月に、Club San Gottardo Mendrisioが所有した。


表題の模型車両は、Roco製の製品番号43539である。ただし、この機関車はRocoが、1997年の、【スイス鉄道誕生150周年】を記念して発売したHistrische Zug set(製品番号43023)に含まれていたものである。機関車の単体は1986年に発売されていた(製品番号43539)。

車両長は224mm、実車と同様に3連接車体で、曲線に沿って車体が折れ曲がるので急曲線も問題なく走ることが出来る。運転室のある車体部分はプラスチック製でその他の部分はメタル製である。重量は495g。

駆動系は両軸モーターを運転室に置き、両軸に大きなフライホイルを装着し、ウォーム1段と平ギアの組み合わせで実車同様にクロスクラッチの軸を駆動して、動輪へはロッドで回す方式。トラクションタイヤは2軸目の片側を互いに斜め方向となる位置に計2個ある。

カプラーポケットはNEM652タイプなので他のものに交換可能。またカプラーポケットと先輪は別々に動く(連動していない)。ライトは前進方向に白3灯、後方は点灯しない。架線集電可能。DCCには非対応。

この製品ではHistrische Lokomotiveとしての形態、茶色塗色、トップの棒形の手すりなどとしているが、車体に書かれた文字はBe 6/8-Ⅱとしていて、やや、ちぐはぐさを感じる部分もある。

なおこの機関車は、当方の欧州型のスタートの時に購入した機関車の1号機である。

1997年スイス鉄道150周年にたまたまスイス旅行をしていて感化され、欧州形を始めようと思い立った1997年12月30日に銀座天賞堂にて入手した記念すべき車両。ただし、相当量走らせたので最近は、保存機となっている。