欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

ÖBB 638.3264 ( P8 - 38.10 )

ÖBB Rh 638は、客車牽引用中型機関車である。原型はP8(KPEV)で、のちBR 38と改称された。

相当安定した使いやすい機関車であったらしく、BR38.2、BR38.10までを含めると4000両弱もの両数が製造された。

ÖBB Rh 638は、DRG(DRB)BR 38 10-40を移籍した機関車である。製造は1912から1921年。3個の動輪径は1590mmで、2軸の大きめな先輪(1065mm)が特徴である。638は、BBÖからÖBBまで使用されBBÖ時代は17両、ÖBBでは1953年には11両在籍していた。

なおオーストリア各地の保存機リストの中には638は見いだせないので、オーストリアでの保存機は無い様である。(ドイツには、38.2が1両と38.10が9両保存されている)


画像の車両は、Fleischmann製で製品番号は4161。

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ÖBB 638.3264

最近では、4167Aとしてカタログに載っているが、品薄でほとんど入手不可能。
当方では、クラブに照会して、ドイツ国内の模型店から譲り受けるようにして2001年に入手した。     

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Fleischmannの通常の手法により、モーターは横型がテンダーに搭載されスーパーギアで減速し、駆動はテンダードライブとなっている。また、製造時からかなりの年数を経ているが、走行はスムーズで静かである。      

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テンダー側のカプラーは旧タイプの引っかけ式から、NEMの各種のカプラヘッドが交換できるタイプに変更している。f:id:eumodel:20190901135041j:plain

ÖBB 1822(実機)

この機関車(実車)は、全長が19300mmのÖBBの最大長を誇る客貨物両用の大型機で、ÖBB独自の開発をされ1991/92年に計5両のみが製造された。

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ÖBB 1822 005-3

外観が(特に正面からは見分けが付かない)似ているÖBB 1014(1993/94年生産)の原型となった機関車である。

出力は4400kw、最高速度140km/hで、それほど強力機ではないが、2電源(15kv/16.7Hz、3000vDC)対応で牽引力は280kNと大きく、当初は、FS(イタリア)と結ぶブレンナー峠越え用のEC(国際列車)やIC(都市間特急)牽引のほか自動車輸送用の牽引機として単機で使われた。

2005年までは全機インスブルックに所属。移籍に関する内容は後日に。

この記事の元を書いた2006年当時では、1016/1116の躍進により普通列車や通勤列車、一般貨物列車の牽引の他に、2電源システムを生かし周辺諸国への輸送にも活躍していた。

車体の塗色は赤と白を直線状に塗り分け、側面では非常に大きい白ヌキの ÖBBのロゴが特徴である。このロゴの位置は、本機では左側に描かれているが、ÖBBでは以降、右側が標準となっていて、1822の左側に描かれたロゴは唯一のケースとなっている。

ÖBB 1016 020-0 „Nachhaltigkeits-Werbedesign“

ÖBB 1016 は、原形が、Siemens ES64 EuroSprinterである。

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Innsbruck
この車輌は、Siemens Transportation Systems および Krauss-Maffei社によって1992年から生産され、多くのヨーロッパの鉄道会社で使用されている電気機関車のファミリーの名前で、ÖBB 1016は、ES64U2とも表せる。

軸数は、全て4動軸で、軸重は21t。(欧州の幹線の鉄道線路は多くの場合、22.5tまで許容されている。)

型名の命名規則は、「ES」+「出力」+「用途」+「対応電源数」による。

メーカーの指定である「ES64」の「ES」は、「EuroSprinter」の略で、「64」の数字は定格電力の最初の2桁(6400 キロワット)を示す。次の記号「U」は汎用機関車で、「P」だとプロトタイプ機関車、「F」だと貨物用機関車を表す。次の番号「2」は2電源<周波数>バージョン(交流15kV/16.7Hzおよび交流25kV/50Hz)を表し、番号が「4」の場合は4電源<システム>バージョン(さらに直流1,500 Vおよび直流3,000 V)を表す。ただし、3電源<システム>の場合は、「3」とは表示せず、「4」と表示される。

Siemens ES64は、基本形として、ES64P、ES64U2、ES64U4、ES64F、ES64F4 がある。

ES64Pは、交流15kV/16.7Hzの単電源対応の旅客用電気機関車。最高速度230km/hで1両のみの存在。
ドイツ鉄道で127形として試験運用された。

ES64U2は、2電源対応の汎用電気機関車

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ÖBB 1016 ( ES64U2 )
交流15kV/16.7Hzと交流25kV/50Hz対応で、最高時速は230km/h。最初の納入先であるオーストリア国鉄で「タウルス=Taurus」の愛称が付けられたため、以降 ES64U2 および ES64U4 の各型の愛称として広まった。

ドイツ国鉄では、182形、貨物部門向け。
オーストリア国鉄では、1016形とし、交流15kV/16.7Hzの単電源のみ対応。また1116形は、交流15kV/16.7Hzおよび交流25kV/50Hzの2電源対応で、ともに最高時速は230km/h。
ハンガリー国鉄では、1047形。
・GySEV(オーストリアハンガリーの私鉄)では、1047形。
・MRCE Dispolok では、ES64U2。(MRCE Dispolok社は、三井物産系列の機関車リース会社)

ES64U4は、3電源対応の汎用電気機関車。交流15 kV/16. 7Hz・交流25 kV/50 Hz・直流3kV対応で、最高速度230 km/h。
オーストリア国鉄では、1216形。
スロベニア鉄道では、541形。
ポーランド国鉄では、EU44形。

ES64Fは、単電源対応の貨物用電気機関車。交流15kV/16.7Hzのみ対応で、最高時速は、140km/h。
ドイツ国鉄では、152形。

ES64F4は、4電源対応の貨物用電気機関車。交流15 kV/16.7 Hz・交流25 kV/50 Hz・直流1,500 V対応・直流3,000 V対応で、最高速度140 km/h。
ドイツ国鉄では、189形。
オーストリア国鉄では、E189形。
スイス国鉄では、Re474形。

さらに派生型として、韓国鉄道公社へのライセンス生産およびUSAのアムトラック向けとして、USA国内のシーメンス工場での現地生産がある。

なお、1016形は、001-050の計50両、1116形は、001-282の計282両、1216形は、49両在籍している。


ÖBB 1016 020-0 „Nachhaltigkeits-Werbedesign“ は、ÖBB における「サステナビリティキャンペーン」の一環として「気候および環境保全」をテーマにしたラッピングをされた1016形。

2018年7月にお目見えし、通常の運用に組み込まれ現在も活躍中。

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Railjet

ÖBBにおける列車牽引のための電力は、自社の水力発電所により100%賄なわれていて、化石燃料を一切使わず、ヨーロッパにおける気候および環境保全に貢献していることを根拠とする。f:id:eumodel:20190826161900j:plain

1016 020-0 は、他の1016と同様に当初は赤色一色の塗色であった。

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2016/07/19 1016 020-0

現在。f:id:eumodel:20190826162054j:plain


モデルは、Roco製。2線式DCアナログの製品番号73494とDCC-Sound搭載の製品番号73495の2製品が2018年冬号(入手は2018年10月)のカタログに掲載された。f:id:eumodel:20190826163616j:plain

カタログにはÖBBのライセンス生産のためWorld Wideで555両限定とあった。そのためすぐ発注。実際に発売されたのは今年(2019年)春だったらしいが、当方は予算の関係でストックしておいて貰った関係で、つい先週に到着した。f:id:eumodel:20190826163658j:plain

購入製品は、Sound仕様の製品番号73495。デコーダーはオーストリア国内のZimoが使われていた。f:id:eumodel:20190826163714j:plain

試走はしてみたが、カタログに記載のある無電区間対応のコンデンサーを搭載しているという効果はチェックしなかったので、今の所その効用は不明。f:id:eumodel:20190826163738j:plain

駆動系はRocoの標準的なもので、特記するようなことは何も無い。f:id:eumodel:20190826163752j:plain

シリアルナンバーは、外箱に128 / 555と記載されていた。
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当方、1016形の導入は、2004年に入手した1016 023-2 Kyoto-Design – „Österreichs grüne Schiene“ 以来の久しぶりで、2001年に入手したオリジナル赤色の1016 011-7 "Roco-Zugkrafttestlok"、続いて2002年に入手した同じ赤色の1016 005-9 "Front Logo"と合わせて4両目となった。

ÖBB 1045 014-6

ÖBB 1045は、全長10400mmで1300mmの動輪4軸(Bo'Bo')の小さな機関車である。

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1045 初期のカラー

車体は箱形であるが、妻面が平らな方が1位方向で、小さな出っ張りがある方が2位側という変形車体を持っている。

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1045 の1位側

BBÖの時代の1927年に誕生し、BBÖでは1170形と称されていた。またDRの時代にはE 45形と称された。製造は1928年までで全部で14両。出力は1140kwあったが、最高速度は60km/hであった。

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1045 2位側

機関車としては小型であるが、0パーミルならば35km/hでは2000t、60km/hでは1130tを牽引出来た。20パーミルの場合では35km/hなら395t、60km/hならば150tを、また35パーミルの勾配では35km/hで215tを牽引できる小粒でもピリリと辛いというような力持ちであった。このような能力を有していたので、1089(1189)のような大型機の補機としても使われたりしていた。

DRの時代までは全14両揃っていたが、02(1945年)と04(1946年)は戦争で損失し、ÖBBに移ったのは12両であった。1980年には01と03がMBSに移籍した。11は事故(1964年)にあい、1966年に廃車。その後は1994年まで活躍したが、全機用途廃止になった。ただし、09は、Nostalgie Lolomotivに指定され現在も動態保存機として活躍中、また最終車番の14もTechn. Museum Wienに保存されている。


モデルの1045 014-6は、ラストナンバー機が晩年コンピュータナンバー化された時代のもの。

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ROCO 1045 014-8

Roco製で、製品番号は43700である。

構成はRocoの標準形で、車体と台車外枠はプラスチック製、中枠はメタル製であった。重量は340g。機関車が小さいのでずっしりと重く感じる。

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Roco 43700

モーターはRocoの通常形よりやや小ぶりのモーターが1個搭載され、フライホイルは小さな車体に合わせ、薄い小型のものが1個装着されている。両軸にウォームギア1段と平ギアの組み合わせで4軸全てを回転させ、トラクションタイヤは2個の台車の向かい合う内側の軸の片側のタイヤに1個ずつ計2個(互いに斜め方向に)装着されている。

集電は、各台車ごとに両側各2個のタイヤに集電子を持っている。つまり全てのタイヤから集電している。台車のスパンは短く、ボギー台車を持ち、集電もしっかりしているため、急曲線もなんら問題なく通過し、しかもトラクションタイヤも備えているため、速度は遅いが牽引力は相当強い。f:id:eumodel:20190801194420j:plain

さすがに長さ300mmクラスのPCには合わないが、260mmクラス(1:100)とか2軸または3軸のPCならば違和感なく編成が組める。

ライトは前進方向に白3灯、後方に赤1灯が点灯する。カプラーポケットはNEM652タイプなので、各種のカプラーに交換可能である。

なお、車体と中枠(モーター取り付け部分)との分解には、屋根上の2個のパンタグラフを繋ぐ細いワイヤーを碍子部分から外し、パンタグラフの間にある四角のフタ(屋根部材)を外すことにより現れる、隠しネジを外すことにより、車体と分離できる。ただし、車体部に通電のための固定式配線が組み込まれているので、車体を外すと走行出来なくなる。

また、この製品は販売時に既にバッファー1個が折れていたが、その分安かったので購入に踏み切ったもの。
2005年1月、ウィーンのクラブを通して購入。

後日、バッファーは保守部品として入手できたが、金属製品で簡単には付けられないので、現在はそのままにしてある。

SBB Ee 3/3 16382

Ee 3/3は、SBBの入換機関車である。

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SBB Ee 3/3 16381 Photo: Thomas Riedel

Eeのシリーズは1923年製のEe 3/4から始まり、1980年製のEe 6/6-ⅡまでとEem 6/6が含まれ、細かい分類が計12もある。このシリーズでは、Ee 6/6-Ⅱ以外は全てロッド式の機関車である。

Ee 3/3 16382は、1944年から1947年まで製造された16381から16414のグループの機関車である。重量は39t、搭載しているモーターは1個で502kwの出力をもち、最高速度は50km/hであった。全長は9510mm。

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Ee 3/3 16360 Photo: Thomas W. Finger


1軸目と2軸目の間にモーターで駆動するはずみ車をもち、これに連動したロッドにて全3軸を回転させる方式。

モデルは、Roco製、製品番号は43529で、塗色が古い方のバージョンで茶色である。(新しいバージョンの赤色塗色のものは製品番号が43528)

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Roco Ee 3/3 16382

駆動はウォーム1段と平ギアの組み合わせではずみ車を回し、実車と同様にロッドにて全軸を回転させる方式。トラクションタイヤはない。f:id:eumodel:20190801184005j:plain

車体は全メタル製。ライトはダミー。カプラポケットはNEMタイプなので他のものに交換可能。f:id:eumodel:20190801184020j:plain

当方ではドイツのオークションで購入し、2004年6月に入線。f:id:eumodel:20190801184033j:plain

現在は他社に譲渡したので在籍していない。

ÖBB 617.1099

ÖBB 617は、元KPEVK(Öniglich Preußische Eisenbahn Verwaltung)のS10.1である。のちにDRBの17.10-12になって活躍していた。

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ÖBB 617

第2次世界大戦終了時にオーストリア国内に残っていた、617、1004、1089、1099の4両が1953年にÖBB 617形式となった。車番はDRG時代のまま使われた。f:id:eumodel:20190731195050j:plain

車輪配置は、2'Ch4vで動輪径は、1980mm。先輪は1000mmである。全長は21110mmで最高速度は120km/h で、1911年から1914年に製造された蒸気機関車としては高速度を誇り、急行列車の牽引に使われていた。f:id:eumodel:20190731195210j:plain

ちなみに同じ1911年に製造されたÖBB 16 (元 kkStB 及び BBÖ 310, DRB 16.0)は、最高速度が100km/hだった。f:id:eumodel:20190731195201j:plain

この機関車は、ドイツではBerlin に17.008(元KPEV S10.1008)が、Dresden に17.1005(元KPEV S10.1 1135)が動態保存されているが、オーストリアでの保存はない模様である。


モデルは、Fleischmann 製のオーストリア・ゾンダーモデル(オーストリア向け)である。製品番号は、87 4117。デジタル対応となっていて、割と最近リニューアル発売されたものである。

車輪は、全て赤色塗色されていて、またスポーク車輪のため軽快なイメージである。f:id:eumodel:20190731195103j:plain

左右(1位側、2位側)の違いは、空気だめタンクとコンプレッサーのある、なしの違い、およびパイピングだけである。

Fleischmannの製品は、基本的に同じ手法で作られていて、動輪のスポークも華奢なほど細く繊細なため軽快感が強い。f:id:eumodel:20190731195514j:plain

動輪の部分に動力系統がないので細いスポークが際立っている。f:id:eumodel:20190731195527j:plain

それに対して、テンダーには動力系統の全てが搭載されていて、赤色の車輪のスポークは目立ってはいるが、動力装置があるためすっきり感はなく、重厚なイメージである。f:id:eumodel:20190731200618j:plain

テンダー後方から見てみると重厚さと軽快さのバランスは結構うまく取れていることが分かる。f:id:eumodel:20190731201519j:plain

正面から。バッファーの上のライトは、LEDによる定電圧点灯である。連結器はダミーが取り付けられているが、NEMのカプラーポケットは装備されているため、ダミーを取り外せば、通常のカプラーを装着できる。f:id:eumodel:20190731200637j:plain

裏面もライトは同じである。もちろんライトは進行方向のみ点灯する。コールバンカの形が後方視界を確保できるように作られていることがよく分かる。なお、タイヤは両側ともトラクションタイプである。f:id:eumodel:20190731200704j:plain

上から見たもの。高速運転のためか意外とすっきりしている。f:id:eumodel:20190731201613j:plain

足回りを下から見たもの。本体は、動力機能がないためすっきりしている。f:id:eumodel:20190731200728j:plain

テンダーの台車は、それぞれ外側の車輪にテンダー内に装着された両軸モーターに付けられたウォームギアにより駆動され、両側にトラクションタイヤが装着されている。台車の内側の車輪には動力が平ギアにより伝達され駆動される。それぞれの台車は固定式で首を振らない。また、台車の内側の車輪は給電のためトラクションタイヤを装着していず、またトラクションタイヤを装着した軸はほとんど左右動が出来ないがトラクションのない方の軸は1mmほど左右に動けるようになっている。

動輪は、第1軸が左右に1.5mm、第2・第3軸は左右に2.5mm移動でき、首を振らないテンダーの台車を補ってカーブに対応できるようにしてある。そのためメインロッドは第2軸のところで分割され、動輪の左右動に対応できるようになっている。また集電子は取り付けられていない。その代わり、先輪の2軸には前後の軸から1軸ずつ±の集電が出来るように工夫され、安定した走行が出来るようになっている。f:id:eumodel:20190731201708j:plain


オーストリア実車の写真を探しているが見つかっていない。その代わりとして参考用に見つけた写真を掲載する。f:id:eumodel:20190731202207j:plain

FS E 636.253

E 636 は FS (イタリア国鉄)のBo'Bo'Bo' 軸配置の連接タイプの機関車である。イタリアの頻繁に曲がりくねった線路を高速で通過できるように連接車体にした最初の機関車でもある。

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08.07.1990; Meran, Bahnhof; FS-E-Triebwagenzug, E636 007 E-Lok mit Personenzug. Foto: Leopold Wilczek

1940年から戦時中の一時期を除き1962年までの長期にわたり計469輌も製造された。世界大戦中期から戦後にかけての FSの標準電気機関車と呼べる存在である。

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08.07.1990; Meran, Bahnhof E636 007 E-Lok mit Personenzug. Foto: Leopold Wilczek

この機関車のモーターは6個で、1軸あたり1個のモーターが装備された強力な機関車であった。当初最高速度は105km/hであったが、後続の、より強力な機関機 E 645に合わせるため、E 636.109-276が改造され、最高速度は E 645と同じ120km/hとなった。

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E636 018 steht am 92.03.1992 im Bahnhof Trieste Centrale. Foto: Nicholas Fürschuss

運用は、主にイタリア北部と南部の都市などを結ぶ長距離旅客運用・貨物運用に使用された。また E 636 は、Domodossola - Milano - Trieste 間を走行する豪華国際列車 "Simplon Orient Express" のイタリア国内牽引機として活躍した実績を持っているが、最近は E 645と共に貨物列車の牽引を担当している。

モデルは、Roco製。製品番号は、63633で限定生産品。

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FS E 636.253

実車では 6軸全てを駆動しているが、この製品では前後の2台車4軸のみを駆動し、中間の台車は集電さえも行わない完全フリーとなっている。f:id:eumodel:20190731162248j:plain

また中間の台車の軸により、連接車体の連結を行っていて中間台車は横(線路と直角方向)には移動せず、あくまでも軸を中心とした首振りのみで曲線に対応させている。f:id:eumodel:20190731162236j:plain

モーターは連接部の真上に置かれ1位側の車体に固定されている。そのためフライホイルは2位側のみで非常に短いカルダンシャフトでウォームと接続し、1位側はモーター軸から直接カルダンシャフトに接続し、さらに長目のカルダンカラーが装着されウォームと接続させている。f:id:eumodel:20190731162144j:plain

全長は210mm、重量は620gとかなり重い。f:id:eumodel:20190731162200j:plain

このシリーズ(E 636とE 645)は、製品を構成するパーツの量がかなり多い。また、オプションパーツ(主に手すり等)も多く、しかも華奢なため、取り付けた後で保管を行う場合かなり神経を使わなくてはならない。

そのため、保管することが分かっている場合は、オプションパーツの取り付けは後日とした方が無難である。添付写真では、その点を考慮してオプションパーツを取り付けていないため、やや寂しい雰囲気となっている。

ライトは前進方向に白3灯、後方に赤色2灯が点灯する。また架線集電可能でDCCにも対応。カプラーはカプラーポケットがNEM362のため、他の形式のものに交換可能である。トラクションタイヤは2位の外側の軸すなわち2個となっている。f:id:eumodel:20190731162224j:plain

当社では2004年4月に予約し、2005年1月に納品された。