欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

FS E 636.253

E 636 は FS (イタリア国鉄)のBo'Bo'Bo' 軸配置の連接タイプの機関車である。イタリアの頻繁に曲がりくねった線路を高速で通過できるように連接車体にした最初の機関車でもある。

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08.07.1990; Meran, Bahnhof; FS-E-Triebwagenzug, E636 007 E-Lok mit Personenzug. Foto: Leopold Wilczek

1940年から戦時中の一時期を除き1962年までの長期にわたり計469輌も製造された。世界大戦中期から戦後にかけての FSの標準電気機関車と呼べる存在である。

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08.07.1990; Meran, Bahnhof E636 007 E-Lok mit Personenzug. Foto: Leopold Wilczek

この機関車のモーターは6個で、1軸あたり1個のモーターが装備された強力な機関車であった。当初最高速度は105km/hであったが、後続の、より強力な機関機 E 645に合わせるため、E 636.109-276が改造され、最高速度は E 645と同じ120km/hとなった。

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E636 018 steht am 92.03.1992 im Bahnhof Trieste Centrale. Foto: Nicholas Fürschuss

運用は、主にイタリア北部と南部の都市などを結ぶ長距離旅客運用・貨物運用に使用された。また E 636 は、Domodossola - Milano - Trieste 間を走行する豪華国際列車 "Simplon Orient Express" のイタリア国内牽引機として活躍した実績を持っているが、最近は E 645と共に貨物列車の牽引を担当している。

モデルは、Roco製。製品番号は、63633で限定生産品。

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FS E 636.253

実車では 6軸全てを駆動しているが、この製品では前後の2台車4軸のみを駆動し、中間の台車は集電さえも行わない完全フリーとなっている。f:id:eumodel:20190731162248j:plain

また中間の台車の軸により、連接車体の連結を行っていて中間台車は横(線路と直角方向)には移動せず、あくまでも軸を中心とした首振りのみで曲線に対応させている。f:id:eumodel:20190731162236j:plain

モーターは連接部の真上に置かれ1位側の車体に固定されている。そのためフライホイルは2位側のみで非常に短いカルダンシャフトでウォームと接続し、1位側はモーター軸から直接カルダンシャフトに接続し、さらに長目のカルダンカラーが装着されウォームと接続させている。f:id:eumodel:20190731162144j:plain

全長は210mm、重量は620gとかなり重い。f:id:eumodel:20190731162200j:plain

このシリーズ(E 636とE 645)は、製品を構成するパーツの量がかなり多い。また、オプションパーツ(主に手すり等)も多く、しかも華奢なため、取り付けた後で保管を行う場合かなり神経を使わなくてはならない。

そのため、保管することが分かっている場合は、オプションパーツの取り付けは後日とした方が無難である。添付写真では、その点を考慮してオプションパーツを取り付けていないため、やや寂しい雰囲気となっている。

ライトは前進方向に白3灯、後方に赤色2灯が点灯する。また架線集電可能でDCCにも対応。カプラーはカプラーポケットがNEM362のため、他の形式のものに交換可能である。トラクションタイヤは2位の外側の軸すなわち2個となっている。f:id:eumodel:20190731162224j:plain

当社では2004年4月に予約し、2005年1月に納品された。