欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

DB 103

DBのBR 103.1形は、現在でも人気のあるドイツを代表する電気機関車である。

試作機である103.0形は、1964/65年に製造された。試作機は4両で当初は E03という形式名称だった。後日、103 001~103 004と改称。

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E03 001 Vorserie Museums

TEEとF-Zug(後のIC/EC)について最高速度を 200km/hに引き上げることを目的として開発された機関車で1963年にE10 299とE10 300が出した 200km/hをベースにして設計された。

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E03 002

車両重量は112tで、軸重は18.7t、車両長は19500mmで、動輪は6軸、Co'Co'という配列である。最小通過曲線は140m、出力は5950kwであった。

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E03

量産機である103.1形は、最初の1970年(量産機の最初の出場機は、103 109)から最終の1974年までに145両が製造された。量産機の出力は 7440kwに増強され、軸重は19.3tとなった。車両側面のエアフィルターは試作機の1段から2段に変更された。

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103 119-4 1992/08/25 Wien West by Tamas Tasnadi

また、103 216から最終機の245までの30両は、運転席スペースを350mmずつ拡張したため、車体長は20200mmになった。側面の向かって左側扉のノブが2個に増設され、また運転室側窓も改良されている。

103 173は1972年の事故で大きく損傷し、1973年に復旧する際に全長を後期型と同様に延長した形で出場したが、側扉は従来のままであった。

103.1形の塗装は、クリームとワインレッドのいわゆるTEEカラーで、裾部はダークグレーとし、DBのエンブレムは黒の金属板のものが使われていた。

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103 235-8 + 103 184-8

試作機 E03と比べると、E03では屋根部分が銀色に塗装されているのに対し、103.1形はベージュ色が屋根まで及んでおり、また銀の飾り帯が廃止された代わりに、正面部分にワインレッドの細帯が追加されたため、試作機とはかなり印象が異なるものとなった。量産初号機の103 109のみはエアフィルターの周囲が銀色に塗られ、さらにワインレッドの細帯が延長された特別塗装となっていた。

103 113は、1975年9月に事故で大破し、1977年に復帰したがその際、裾部分までワインレッドに塗られた塗色に変更され、DBのエンブレムも小振りなものに変わった。そしてこの塗装は徐々に他の機関車にも採用された。
また通常のTEEカラーの機関車も1980年前後からDBのエンブレムが黒色のものは、小振りな赤色のものに変更されたが、一律ではなく、DBが民営化された1994年まで黒色のエンブレムのままでいた機関車も存在した。
1994年のDB-AG設立時には、全てが新しい書体の小振りな赤色のものに変更された。

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103 155-8

1987年には車体全体を赤色(Orientrot)とし、前面窓下のみ、大きな五角形の白色とする新塗色が現れ(103 115)、順次大半の103.1形はこの塗色に変更された。

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103 115-2

なお、1997年に保存機として選定された103 245は、一度この Orientrot塗色になったが、保存機指定と同時に元のTEEカラーに戻された。

1982年に、LufthansaとDBが提携して"Lufthansa Airport Express"と呼ぶ空港と都市を直結する(Frankfurt空港 - Stuttgart Hbf間)列車を運行し始めた。列車は機関車1両+客車3両という編成で、ライトグレーに黄色、裾部がダークグレーという専用の塗装をした客車と機関車(専用機として111 049)が使われた。1991年には、それまでの111形に代わり、103形が担当することになり、103 101が専用機に指定された。103 101は、LAE専用カラーに塗り替えられ、側面に"Lufthansa Airport Express"のロゴが入った。

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103 101-2 Lufthansa

1993年3月にこの運用が廃止されると同時に、103 101はOrientrot塗装に変更された。

1995年10月に、DBはTouristik-Expressと呼ばれる臨時列車を設定した。103 220はこの列車の専用牽引機となり客車と同じ特別塗装になった。この塗装は下側から濃紺で表す湖水(海)に、明るい山肌の黄色と、樹木の緑色、青空の空色に白い雲という表現をデザインし、多色を使ったいかにも旅行の楽しさを醸し出す派手なもので、四季それぞれにも良くマッチした。

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DB-AG 103 220-0 Touristik

この列車はチャーター形式で運行されたが、運行開始以来大変好評でドイツはもとより、隣国のオーストリア、スイス、またチェコにまでも運行された。そのため非電化地区からも要請が強くなり、DBのディーゼル機関車218形の416と418も同特別塗色となり、専用牽引機となった。また、103 220は、専用列車牽引のみでなく、空いている時には一般運用も行っていた。

1990年代後半から、DBの主要な機関車は Verkehrsrot(交通赤)と呼ばれるOrientrotよりも濃い目の赤色塗装に成った。103形は、最初はこのカラーには変更されなかったが、2000年7月にRocoの広告塗装という形で103 233がVerkehrsrot塗装となった。

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103 233-3

2001年までに試作機を含む249両中の103両が用途廃止になった。最初に戦列を外れたのは103 106で、Rheinweilerにて脱線転覆をし、1972年7月に廃止された。

試作機の103 001は、1989年4月に事業用となり750 001と改称され、1997年4月末に"Museumslok"(E03 001)として動態保機となった。103 002は、1986年11月に廃止になったが、1ヶ月後に"Museumslok"(E03 002)になった。103 003は、1989年4月に750 002となったが、詳しい調査の結果状態が良くないことが判明し同年9月末に廃止となった。ただし、エンジン胴(Lokomotivtorso)が廃棄されただけで他は保管したようである。103 004は、1988年9月に"Museumslok"(E03 004)となった。また、量産機の103 222は、1989年12月に750 003と改称され現在に至っている。

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750 003-6 ( ex 103 222 )

250km/hの特別仕様機103 118は、1973年9月に252.9km/hの最高速度を樹立し有名であるが、その上の記録を出した103形がある。試作機の103 003がそれで、ICE-Zugを250km/hにするか280km/hにするかを検討するため、003を改造し試走させた。1985年8月に280km/hが公式記録として認められ、これによりICE-Zugが280km/hで運行される事になった。

モデルは、参考用に当方で所有していた2006年時点の 103形を並べたもの。

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右側から、750 001-0、103 155-8、103 101-2、103 230-9、103 240-8、103 233-3、103 220-0 である。
このうち230と240は、2015年に他社へ移籍し、2016年にラストナンバーの103 245-7(Sound)を追加。他にここに載せなかった103 181-4(DCC化)があり、2019年7月時点で103形は8両在籍している。