欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

BBÖ 729 (ÖBB 78)

BBÖ 729は、1931年から1938年にかけて誕生したタンク式の蒸気機関車で車輪配置は2'C2' h2tである。外観がよく似ているPreußischen T18(のちのDB BR78)とは別ものなので注意が必要である。

ちなみに、Preußischen T18は、1912年から1927年にかけて計542両誕生した。当初は、Preußischen T18と称されたが、DRではBaureihe 78.0-5と称され、DB時代にはBR 78と称された。出力は838kWで最初の9両は最高速度が90km/hで10両目からは100km/hとなった。退職はDRでは1972年、DBでは1974年だった。

第一次世界大戦後、BBÖでは国境を越えて隣国への貨客輸送が増大していた。その際隣国に入った機関車は、その国(鉄道会社)の機関車に付け替え、方向転換をして戻ってくるのだが、その方向転換には隣国の会社にその費用を支払う必要が生じ、その費用が膨大な額になったということから、費用節減のため、方向転換しなくても済む機関車を開発する事になった。同時に輸送量増加にも、また急行列車も牽引できる高速性能を持つ条件もクリアする事が要求された。

しかも早急に高性能な機関車を開発する必要があったので、ボイラーは、Südbahnの109のボイラーを使い、台車、車輪、コントロールロッド類は629のを組み合わせ、さらにレンツバルブ制御およびハインル混合予熱器を装備した。

1931年に6両、1932年に4両製造され納品された。また1936年にはさらに6両が追加発注され、計16両となった。これらは、出力が1325kW、最高速度は95km/hだった。

DRの時代に10両の追加発注があり、Baureihe 78.6(当初は78.657-666で、のちには78.617-626)と称された。これらは、出力は変わらないが、重量が4.7t増えて113.1tとなり最高速度は105km/hにアップされた。

第二次世界大戦で、これらは1両も損傷を受けること無く残り、1953年にはÖBB 78(78.601-626)になった。

1968年に13両が、1969年に2両、1970年に5両、1972年に3両、そして1973年に最後の3両が引退して終焉となった。なお、1972年に引退した78.606は、当初オーストリア鉄道博物館が所有。2012年になって鉄道博物館Strasshof移動して静態保存されている。

また、1972年に引退した78.618は、ÖGEG(Österreichischen Eisenbahnmuseums)によって1976年から整備され、現在も動態保存機として活躍中。ÖGEGでは、1968年に引退した78.625も1978年に入手、618の予備部品取り用として保管中とのこと。

モデルは、Klein modellbahn製。当方では都合5機を2002年から2004年にかけて購入した。これらは2001年頃から2003年頃に掛けて発売されたと思われる。

最初は、表題と同じBBÖの729の1号機。製品番号は5120。

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水タンク、キャブ、炭庫に飾りラインが引かれているが、実機の写真が見つからなかったので、このラインが実際にあったかどうかは不明。

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下回りは金属ダイキャストで、先輪台車と従輪台車は全く同じで金属ダイキャスト、車輪押さえはプラ製。ボイラー・キャブ等の上回りボディはプラ製で蒸気溜内に隠しボルトがあり、これ1本でボディは外せる。カプラーは前後とも引っかけ式で、重連連結は出来ない。またカプラーは先従輪台車に連動するようになっているため曲線部やS字カーブでも連結が外れることがない。

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駆動系はキャブ内に置かれた片軸モーターからウオームギア1段のあとは平ギアにより中央の動輪を回し、両側の動輪にはロッドで伝達する方式。

動輪は片側タイヤのない状態で金属ダイキャストの穴に軸を差し込んだあと、タイヤを圧入する方式なので、通常は外すことが出来ない。

集電は、動輪3軸のタイヤの両側から採取している。集電子は厚めの燐青銅板をタイヤに強めのテンションで接触させているので確実である。

ラクションタイヤは装備していないが、かなりの重量があるので意外と牽引力はある。

ライトは前後とも進行方向に2灯点灯。灯具の中に電球色のチップLEDを仕込んでいる。

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この製品は、2003年12月に限定品として発売されたもので、シリアルナンバーを記した記録紙が封入されていたが、車両には記載が無い。生産量は300両と聞いている。

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走行は、安定していてスローからスムーズに走り、急行牽引機らしく、結構高速な雰囲気である。