欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

SBB Be 4/6 12320

Be 4/6 は、ゴッタルド峠越えを主目的に製造されたロッド式の電気機関車である。客貨車両方に使用される万能機でもあった。全部で42両製造されたが、大きく4種類に分類される。

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SBB Be 4/6 12320

2個の動輪の中央に置かれたはずみ車をモーターで回し、それに結びつけられたロッドにより1530mmの2個の動輪を駆動する方式で、950mmの先輪1軸を持っていて、2-4-4-2(1-B-B-1)という車輪配置は、共通している。

 

1号機である12301は、他の3種類と違い、凸型の車体を持っていて1919年に登場した。2320 PSで最高速度は75km/hである。(最高速度は全機とも75km/hであった。)

 

2号機から箱形の車体となったが、出力は1920 PSにダウンした。


3号機からは、出力が1760 PSとさらにダウンしたが、この仕様で12号機までが製造された。また、妻部は重連走行を考慮した貫通ドアが設置された機もあった。出力は押さえられたが、これでも26‰の勾配で300tを牽引し50km/hで走行できる性能があった。

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13号機からは、2040PSに増強されたが、その分、4tばかり重量が増加し111tとなった。この仕様で1923年までに42号機まで製造された。このうち、1930年に29号機から42号機までパンタグラフの位置変更(両端へ移動)が行われた。

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次にモデル車輌。

茶色のBe 4/6 12320は、1975年に、Historische Lokomotive(以下HL)として動態保存された機関車で、HLに指定されたときに、初期の茶色塗色に戻されている。

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この模型車両はRocoが製造販売した。発売時期は正確には分からないが、最初に発売した車両は(旧製品番号)1983年のカタログに既に掲載されている。画像の車両は、43508という製品番号で1996年(スイス鉄道 150周年=1997年=の前年)にリニューアルして発売された製品である。

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駆動系は、Rocoのボギー系動力車の標準的構成となっていて、車体中央に両軸モーターを置き、カルダン軸で両台車のウオームギアを回し、平ギアの組み合わせにより2軸台車の1軸を回し、もう一方の軸にはロッドで伝達する方式が採用されている。実機でモーターにより駆動されるはずみ車は、ロッドにて回転を伝達されるだけのダミーである。

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実車では重要な役目を果たしている先輪であるが、模型では、ポイントのフログに引っかかったり、クロッシングで脱線したりする厄介者である。Rocoのこの車両では、上下方向に対しては復元スプリングが仕込まれて、線路に対し圧が掛けられているが、直線や急曲線を走行させると、あらぬ方向に先輪が向いてしまうことが多く、その影響で脱線等の事故が起きる率が高い。

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そこでリン青銅の細線を使って独自の復元機能を組み込んでみた。この画像で、向かって左側がその復元スプリングを組み込んでいる状態、右側はノーマルな状態で、ノーマルだとこのように車体を倒すと先輪が落ちてしまう様子がよく分かる。(カプラーの種類が違うのは愛嬌)

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1位方向(前進するときの前側)さえ復元できれば、客貨車を牽引する側(後ろ側)はノーマルでも問題は発生しない。

ラクションタイヤは両端のギア駆動している軸の片側=相互に斜め方向=の2タイヤというどちらかというと珍しい配置になっている。


ライトは電球タイプで、前進方向に白3灯、後方はスイス標準の白1灯が点灯する。ライトに関しては、スイッチが設けられていないので常時進行方向にあわせて点灯してしまう。なお、8ピンのコネクターを装備しているのでDCC化は可能である。


カプラーは、ヘッドタイプのものなら各種のものに交換できる。


この機関車は、当社が欧州形を始めて2番目に入手した機関車で、当時四ッ谷3丁目にあったロコレモンという店で購入した。購入時期の関係で、かなり走らせていたため、車輪の摩耗が激しい。また、この頃は線路状態が良くなかったので、脱線転覆することも多く、屋根部の細い線が切れてしまった。ただし、既に補修部品としてパーツは購入してあるので、本格的に走らせるときが来たら交換できるように準備はしてある。(モーター、車輪とも)

また、この頃はパーツの入手が難しく、パーツの予備を得るには車輌を複数購入する方法しか選べなかったため、予備機として1998年9月に天賞堂で同一車番のを追加購入した。しかし、その後パーツを入手できるようになったたので、結局この予備機は、2000年12月に他社に譲渡してしまった。