欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

ÖBB 2068 012-0

ÖBB 2068は、ÖBBが1980年代中期以降の新しいコンセプトによるディーゼル機関車として企画設計した汎用のディーゼル機関車である。

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ÖBB 2068 012-0

全長は13770mm。B'B'の車輪配置で、動輪径は950mm、重量は66.7t、軸重は16.7tで、1500Lの燃料を搭載出来る。出力は820KW(1115 PS)、最高速度は100km/hである。


エンジン形式はJW 608 DSで、2143.001-022のものと同じである。液体式変速機を備え入換作業と、比較的高速の客貨物を牽引する本線運用の両方をこなすことが出来る。

プロトタイプとしての最初の5両は、1989/1990年に納品された。続いて量産車として1992/1993年に25両が、1993/1994年に30両が納品され、全数60両が揃った。

1990年代では、ECなどの優等列車を牽引する機会もあったが、最近では、それらの高速列車は、1016/1116/1216などの電気機関車や2016などの電気式ディーゼル機関車に譲り、貨物運用はもとより、2階建て通勤列車などの近郊列車の牽引などに活躍している。f:id:eumodel:20190703173723j:plain

2068.012は、僚機7両と共に新製配置より、Innsbruckに所属し、現在も活躍している。

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2068 012-0 in Jenbach


モデルは、Klein Modellbahn(以下KMB)製で製品番号は5007である。

この5000番シリーズは、2000/2001年記念として発売された一連の製品で、300両の限定生産品であった。発売は、KMBの2000/2001年カタログおよび HPにアナウンスされたため、ほとんどの製品が売り切れとなり、当方では入手できなかったが、2004年の夏にクラブにて少量確保できた旨の Newsが飛び込んできたので、すかさず購入の手続きを取ったものである。f:id:eumodel:20190703181458j:plain

当方への納品は、2004年8月末であった。

動力系は、標準のフライホイル付き横型モーターに、カルダン軸で各台車上部のウォームギアを回転させ、平ギアの組み合わせで各台車の2軸を回転させる方式。モーターはマブチモーター製を使用。トラクションタイヤはないが、車体重量は380gで、結構牽引力はある。集電も各台車のタイヤより取っていて確実である。ライトはLED定電圧方式で、前進方向に電球色で3灯、リアは赤色2灯が点灯する。カプラーは、カプラーポケットがNEMタイプのため各種のものに交換可能。8ピンコネクターを装備している。

なお、単機牽引ではR2(R354)も難なく通過するが、重連とした場合、R2または、Fleischmannのカーブポイントではバッファーが互いに噛み付き脱線することが多い。対策としては、車輌間隔が少し広めになるカプラーにて連結すれば問題が無くなる。

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ラクションタイヤを持たないため、重量編成では、特に勾配区間通過などには重連として牽引させた方が安定した走行となるが、1両1両にモーター回転数や消費電力に結構差があるので、なるべく近似な性能を持った車輌を組み合わせる事が必要になる。

当社では、2068は、計4両在籍し、納品順に2000年5月、2068.055(製品番号0521)、2001年5月、2068.032(製品番号0522)の2両と、2068.014、012の計4両となっている。

なお、KMBでは1990年代に製造した下回り(Zinkal合金=亜鉛合金)の材質が悪いときがあって、台枠が曲がったり、崩れたりする現象が発生したが2000年代に入ってからはその問題が解消され、特に蒸気機関車等では性能の良い製品が誕生し販売された。

経営上では、1990年代から引き続き資金問題や諸々の問題から2008年7月には製造を中止、オーストリア国内に展開していた販売店を縮小してウィーンの機関店一店舗に集約して販売することになった。しかしながら、資金繰りが上手く行かず、結局2010年には廃業してしまった。

KMBは、1984年に創業したメーカーでBBÖとÖBBに特化した車両を多く企画製造していた。またSBBやCSDの車両も販売していた。スイス系の車輌以外では、その多くは、他のメジャーなメーカーが出していないモノばかりで、しかも割と廉価で販売されていたことから、特にオーストリアのファンには愛されていたという。

解散後、社員たちの6割はRocoを始めとするメジャーなメーカに移動されたと聞いているが、最近になって、KMBだけが製造販売していた、それまでメジャーなメーカーから一度も発売されたことの無い車両が、発売、または発売予告がされ始めた。

こちらの2068は、JÄGERNDORFERから、Dgital対応(Soundも含めて)に進化した車両が現在も販売されている。