ÖBB 1073.17
ÖBB 1073形式 は、オーストリアで1920年に電化が計画された時に高速旅客用として開発された電気機関車。当時はBBÖで1029という形式名称だった。電源は、最初からAC15kv16.7Hz。
BBÖでは、1920年から1921年にかけて12両を発注。納車は1923~1924年だった。車軸配置は1’C1’で、2つのモーターを搭載、ダミーシャフトにロッドを付け、3つの車輪に駆動力を伝達する方式。毎時出力は当初1000kw、のちに1160kwとなる。1924年にはさらに8両を追加発注。これらは1925~1926年に納品された。
車体は変形凸型でパンタグラフは2丁あったが、キャブは片側にしかなく、キャブのない側が1位であった。軸重は15tで最高速度は75km/h。当初は暫定的に80km/hで設計されたが、1930年までに全機75km/hに改造された。
勾配牽引力は、10‰までなら400t(40~48km/h)、客車では14‰、40km/hで300t、貨車では14‰、30km/hで380t、また客車ではArberg Ost(26.4‰)では42km/hで170t、Arberg West(31.4‰)では40km/hで140tを牽引できた。
DR時代ではE33形式とされ、ÖBBになってからは1073形式と改称された。第2次大戦で4両を失い、ÖBBに引き継がれたのは12両(01,03,08,09,12,13,14,16~20)で、このうちの5両(08,09,14,18,20)は、1952年12月にDB(Wiesentalbahn)に所属区を移した。なお1954年以降は最高速度を90km/hに改造された。
廃車は1970年から始まり、最終は03と14の1975年11月で、03はEb-Musseumに保存された。またそれまでに用途廃止された機もVhz(事業用)として1980年頃まで使用された。そして最後まで稼働出来る状態で残っていた08と20は、鉄道史のためのオーストリア協会(Österreichischen Gesellschaft für Eisenbahngeschichte)の Ampflwang鉄道博物館に保存されている。
モデルは、Rivarossi製で、製品番号はHR2550。2016年1月に発売された。DC-Analog。21pinのコネクターを内蔵しているが、メーカーでのDCC-Soundの設定はない。
この製品は2010年に発売が予告され、当時所属していたウィーンのクラブを通じて予約していたが、流通量が非常に少なかったらしく、Soldoutということで入手できなかった。今回の製品は、逆にオーストリアのファンにあまり人気がなかったようで、幸い少々割安で入手出来た。1999年からお付き合いのあるインスブルックの模型店から購入。当方への納品は2016年4月末だった。
モーターは、やや細めの横型両軸で片側はフライホイルのみ、もう片側にウォームギアがセットされキャブのない側の端の動輪を駆動、その他の車輪にはロッドで伝える方式。集電は動輪の3輪と両側の先輪(それぞれ片側)から集電をしている。
車体の分解は説明書では簡単そうに記入されているが、結構難しくて、プラのはめ込み部分が折れる可能性が見受けられたので、今回は敢えて分解は行わないことにした。
一見するとキャブ側の方が運転しやすそうに見えるが、実機の写真を見る限り、キャブのない方を先頭にして走っているものばかりなので、やはりキャブは後方が正しいらしい。
ライトは進行方向のみ黄味がかったLEDの白が3灯点灯。
走行の消費電流は少なめで、通常(8.0V)時で100mA、12.0V時で150mAだった。
写真は12.0V時。
線路を走行させると、最初のうちは先輪は回らないことも多く飾りのような状態。ただ回らなくても線路に接している限り、集電は行っている様子。全長はバッファー位置間で147mm。動輪のスパンは両端で66mm。中央の動輪は左右に2mmほど移動できるが両端はほぼ固定(約0.5mm)となっている。・・・30分ほど走行させた後には、先輪が回らない状況はかなり減った雰囲気。
この動輪のスパン66mmは、他の機関車と較べて相当広く、このためRoco geoLineのR3(r=434.5mm)だとかなり抵抗が増え、速度が落ちる。もちろんR4(r=511.1mm)なら直線と同様にスムーズに走れる。
Fleischmannのタコメーターワーゲン(5555)によると、12v時で最高78km/hだったのでほぼスケール速度のようである。
1073.17 の実機は、1925年製。用途廃止は 1975年2月26日で、以降は事業用のVhz 01109となった。ただし最終廃車時期は不明である。