欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

ÖBB 2143 020-2

2143は、1965年から製造された電気式ディーゼル機関車である。最終的に77両誕生した。

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Photo: Ulf Fischer

その前年には2043が誕生していたが、2143は、2043より少し車両重量が軽く、その分、軸重もわずかに軽かった。

全長は15760mmの箱形で動輪径は950mm、標準的な2個の台車によるBo'Bo'の配置で出力は1115kwであった。

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2143 029-3

2143は、使われているモーター等により5Typeに分けられた。最初の2143.01-03の3両は、1965年に製造され2043の量産型より車重が重く(68.7t)、最高速度は100km/hであった。(ただし1980年に110km/hに改良された。)

2143.04-12の9両は1967/68年に誕生し、車重は65tで軸重は16.25t、最高速度は100km/h(のち110km/hに改良)であった。

次に誕生(1968-1971年)した2143.13-33から、エンジンスターターが電気式(それまでは圧縮空気)になり、クイックスタートできる様になった。(2143.13のみ折衷型のスターターを装備、最高速度は最初から110km/h)

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2143 069+2143 073 Photo: Christian Beckers

1971-1977年に増備された2143.34-77は、最高速度が110km/hになり、やや車両重量と軸重が増えた。

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2143 075-6 Photo: Wolfgang Grafeneder

1981-1993年には、古い機関車を淘汰し、その替わり2143.001-022を製造した。(諸特性は同じ)

2006年1月1日現在では、2143は66両在籍していたが、2016の急速な増備(この時点で100両)により、徐々に両数を減らされるものと思われる。また、RTS(Rail Transport Service)などのPrivatebahn、または隣国の鉄道に移籍するものも出てきている。

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RTS 2143 032-7


ここからは、モデル。

2143は、2006年の時点ではオーストリアのKlein Modellbahn(略称KMB)が販売していた。製品はグリーン塗色、オレンジ塗色、赤とクリーム塗色、赤と白の塗色のものなどと、バリエーションが多く発売されていた。またそれぞれに合わせた車両番号の製品がある。ただし、製品番号については、通常の番号が無いものもあって、ややこしい。

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KMB 2143

表題の2143 020-2は、車体側面がオレンジ色で屋根は黒に近いこげ茶色、足回りが黒色であった。製品番号は不明であるが1992年のカタログには0513として2143.020が掲載されている。ただしこのカタログによるとこの製品はrot(赤色)と書かれているので、画像の製品とは違うと思われる。

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KMB 2143 020-2

車体と台車はプラスチックで、下回り(黒色の部分)は、メタルとなっている。モーターとモーターの間には大きなウエイトが置かれ、その上部の回路板の下側もウエイトとなっている。下回りと車体は、嵌め込みによる固定ではなく、屋根上の突起部に隠された長ネジにより下回りを固定する方式となっている。このため、強く締めすぎると車体がV字になり前後方向の収まりが悪くなってしまう。(極端な場合、車体が割れてしまう)f:id:eumodel:20190916164438j:plain

KMBのボギータイプの製品は基本的に駆動系の構造が同じで、この車両もその標準的構造となっている。モーターは各台車に1個ずつ搭載され、ウォームギア1段と平ギアの組み合わせで台車内の2軸を回転させている。従って全軸駆動である。モーターはパラに結線され始動のズレを吸収するようになっている。トラクションタイヤはない。f:id:eumodel:20190916164454j:plain

ライトはこの車両の場合は、前進方向に白3灯、後方には赤2灯が点灯する。f:id:eumodel:20190916164512j:plain

ラクションタイヤがないので、高荷重の勾配等では登れない場合があるが、高荷重でなければ急曲線も問題なく走行する。また、重連の場合は、モーターの調子が揃っている車両同士では、非常に安定した走行が出来る。f:id:eumodel:20190916164547j:plain

なお、KMBは2002年前後に経営難に陥り、それまでいた技術者がどっと退社した為、製品の投げ売りや粗悪品が出回ったことがあったが、2006年時点では堅実な製品を販売している。

画像では、2003年2月に送られてきた製品の、メタル部分がバラバラに壊れていた時のものを参考に掲載する。   f:id:eumodel:20190916164606j:plain

以下、赤丸がそれぞれ破断した部分。f:id:eumodel:20190916164735j:plainf:id:eumodel:20190916164752j:plain

この時は、「あり得ない事」とされ、長期に待っていたが代替え品が送られてこなかったのと、当製品と同じ車両番号の製品が入手できなっかたので、諦めて、入手可能な他の車両(2143.46=製品番号0512)を2両購入し、当車両の車体と載せ替えて充当した。(従って、外された2143.46の車体は、補修パーツとして保管中である)