欧州形鉄道模型紹介

模型車両を中心に、実車の情報を含めて紹介します。

ÖBB 659.06

ÖBB Baureihe 659は、元DRBの Baureihe 59である。戦後は、DRG 59.0と改称されている。

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ÖBB 659


Baureihe 59は、全長20200mm、1'F-h4vという動輪が6輪の貨物列車用の機関車で、最初の15両はWürttembergischen Staats-EisenbahnenのタイプKであった。


1917年から1924年の間に機械工場Esslingenによって44両が誕生した。主に勾配区間と重量級木材運搬を目的とされ設計された機関車である。動輪径1350mm、先輪は943mm、軸重は16t、1920ps、最高速度は60km/hであった。


6輪の動輪性能を生かすために、中央の2軸の動輪のフランジを15mm削ったといわれている。なお機関車は非常に信頼できる強力な性能を持ち、山ルートで活躍した。


ドイツ連邦政府(Deutsche Reichsbahn)は、Baureihe 59として29両を購入し、重要な主なルートに配置し、通過量を増加させたといわれている。しかし、電気機関車の進出により、新たな生産は中止され、オーストリア方面に配置換えをされた。オーストリアでは主にSemmeringbahnに運用された。


戦時中には数両がユーゴスラビアハンガリーに行き、ドイツ連邦鉄道(Deutschen Bundesbahn)に残った車輌は1953年まで運用された。


戦後はオーストリア国内に残っていた30両ほどが集められて組み立て直し、2両はソビエトに売られ、6両はMAVに渡された。最後に残っていた4両がÖstB Baureihe 59となり、1953年にはÖBB になって形式名称を659に変更した。この時の在籍車輌は、659.06, 23, 29, 41の4両である。


これらは1955年まで4両とも在籍したが、1956年には1両を残すのみとなり、1957年には全て廃車された。なお、この形式の保存機はドイツ、オーストリア共に1両も残っていない。


モデルは、Rivarossi製の製品番号1313で、発売は1995年。

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659.06


全長232mm、重量は430gである。f:id:eumodel:20190502140415j:plain


モーターは両軸の横置きタイプをテンダーに搭載。片軸にはフライホイルが装着され、もう片方の軸にはプーリが嵌められている。駆動はベルトにてテンダーの第1軸(機関車側)に組み込まれたウォームギアを回し、さらに第1軸から第3軸へベルトにて回転を伝える方式。第2軸と第4軸はフリーで駆動はしていない。

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659.06


そのテンダーの第2軸と第4軸は、上下方向へ自由に動ける。集電は第2軸と第3軸のフランジから取っている。また機関車動輪の第2軸と第6軸のフランジからも集電している。


動輪が6軸有るので、そのままだと曲線通過に厳しいものがあるが、写真でも判るように第2軸を除き、左右に2-5mmも移動出来るようになっていてR2(R356)も通過できる。なお、テンダーは外観上では2軸の台車となっているが、実際は固定式で台車はダミーである。


テンダーの駆動軸、すなわち第1軸と第3軸、および機関車動輪の第4軸(計6タイヤ)がトラクションタイプとなっている。


ライトは前進方向に白2灯が点灯する。DCCには非対応。カプラーは機関車側はダミーで、取り付けることはできない。テンダー側はカプラーポケットがNEMタイプのため各種のものに交換可能。f:id:eumodel:20190502140724j:plain


ボイラー回りのパイピングは金属線によるものである。また機関車下回り、テンダーフレームはメタル製である。なお、細かいパーツがいくつかあるが、全て未装着である。f:id:eumodel:20190502140816j:plain


この製品は、高価であったことと製品そのものの生産量が少なく、中々入手できない車輌であったが、当方ではオーストリアのクラブを通じて2002年9月に購入、翌月に納品された。